周斌

周斌（しゅうひん、1417年 - 1473年）は、明代中期に活躍した官僚です。字（あざな）は国用といい、永平府昌黎県（現在の河北省秦皇島市昌黎県）の出身です。彼はその生涯において、清廉潔白な官吏として民を思い、不正を許さない強い意志を持って職務を全うしました。

1451年（景泰2年）、周斌は科挙に合格し進士となり、官界への第一歩を踏み出します。監察御史に任じられると、彼はその鋭い観察眼と正義感で、不正を暴き、汚職を正すことに尽力しました。1457年（天順元年）、周斌は御史の張鵬らとともに、当時権勢を誇っていた宦官の石亨と曹吉祥の不正を弾劾しようとしました。しかし、この動きは事前に給事中の王鉉によって石亨に漏洩してしまいます。石亨と曹吉祥は、これを機に英宗に泣きつき、逆に張鵬らが宦官の張永の甥を殺害し、党派を組んで自分たちを陥れようとしていると誣告したのです。

これにより、周斌は濡れ衣を着せられ、江陰知県（現在の江蘇省無錫市江陰市）へと左遷されることになります。しかし、周斌はこの不遇な境遇にも腐らず、江陰県で水利事業を積極的に推進し、河港を開通させるなど、地域住民の生活向上に大きく貢献しました。この功績から、江陰県の民衆は彼を深く敬愛し、旱魃が続いた際には「周公が祈ると甘露の雨が降り、洪水が襲った際には、周公が祈ると雨は止んだ」と歌い、その善政を讃えました。

1463年（天順7年）、周斌は人々の推薦により、開封府知府（現在の河南省開封市）に抜擢されます。江陰県を離れる際、その功績を称え、民衆によって周斌を祀る生祠が建てられました。開封府においても、周斌は公正な裁判を行い、民衆の信頼を得ます。開封府を去る際にも、多くの民衆が涙を流して別れを惜しんだと伝えられています。

その後、周斌は陝西参政に転任し、その行政手腕を遺憾なく発揮します。1473年（成化9年）、広東右布政使（現在の広東省の行政長官）に任命されますが、広東に着任してわずか1ヶ月も経たないうちに、57歳でこの世を去りました。周斌は短い生涯でしたが、常に民を思い、不正を許さない清廉潔白な官僚として、その名を歴史に刻みました。

周斌の生涯は、官吏のあるべき姿を示唆していると言えるでしょう。彼は、権力に屈することなく、民のために尽くしたその生き方を通して、後世に大きな影響を与えた人物として記憶されるべきです。

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