開封府

開封府

開封府は、現在の河南省開封市一帯に、五代十国時代から中華民国初年まで存在した府です。その歴史は、後梁による昇格に始まり、その後の王朝交代や行政区分の再編によって、名称や管轄範囲が何度も変化しました。

歴史

五代十国時代

907年、後梁の朱全忠によって、汴州が「開封府」に昇格し、後梁の東都とされました。当初、開封府は開封、浚儀、陳留、雍丘、封丘、尉氏の6県を管轄していましたが、その後、鄭州、滑州、許州、宋州、曹州、陳州の9県が編入され、管轄範囲が拡大しました。

923年、後唐が後梁を滅ぼすと、開封府は「汴州」に降格し、宣武軍節度使の管轄に戻りました。しかし、938年には後晋によって「汴州」は東京に昇格し、「開封府」が再び設置されました。

北宋時代

北宋時代になると、開封府は「東京開封府」となり、京畿路に属しました。この時期、開封府は開封、祥符、陳留、雍丘、封丘、尉氏、中牟、陽武、延津、長垣、東明、扶溝、鄢陵、考城、太康、咸平の16県を管轄し、北宋の首都として繁栄しました。

金時代

金代には、開封府は南京路に属し、開封、祥符、陽武、通許、太康、中牟、杞、鄢陵、尉氏、扶溝、陳留、延津、洧川、長垣、封丘の15県を管轄しました。また、延嘉、陳橋、八角など15の鎮もその管轄下に置かれました。1214年、モンゴル帝国の圧迫を受けた金は「南京開封府」に遷都しました（貞祐の南遷）。

元時代

1288年、元により南京路は「汴梁路」に改称され、河南江北等処行中書省に属しました。汴梁路は録事司と開封、祥符、中牟、原武、鄢陵、滎沢、封丘、扶溝、陽武、杞、延津、蘭陽、通許、尉氏、太康、洧川、陳留の17県、そして鄭州、許州、陳州、鈞州、睢州に属する合計21県を管轄しました。

明時代

1368年、明により汴梁路は「開封府」と改められました。開封府は河南省に属し、祥符、陳留、杞、通許、太康、尉氏、洧川、鄢陵、扶溝、中牟、陽武、原武、封丘、延津、蘭陽、儀封、新鄭の17県と、陳州、許州、禹州、鄭州に属する合計13県を管轄しました。

清時代

清代、開封府は河南省に属し、祥符、陳留、杞、通許、尉氏、洧川、鄢陵、中牟、蘭封、新鄭、密の11県と禹州を管轄しました。

中華民国

1913年、中華民国により開封府は廃止され、その長い歴史に幕を閉じました。

開封府の変遷

開封府は、その成立から廃止までの間に、所属する王朝や行政区分の変更、管轄範囲の拡大・縮小を繰り返しました。この変遷は、中国の歴史における政治・経済・文化の中心地としての開封の重要性を示すものと言えるでしょう。

脚注

関連情報については以下を参照ください。

開封攻囲戦
汴州
五代十国時代
北宋
金
開封市

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