表皮

表皮 (ひょうひ, epidermis)

表皮は、多細胞生物における最外層の組織であり、その主な役割は内部の保護です。特に陸上生物では、表皮は硬化したり、クチクラ層と呼ばれる防護層を形成します。また、水中で生活する生物の表面には繊毛などの構造が見られることもあります。生物の分類によって、表皮の特性は大きく異なります。

植物の表皮

陸上植物における表皮系は、根、茎、葉、花などの体表面を大部分覆っている表皮細胞（epidermal cell）から成っています。この表皮細胞の中には、植物の呼吸を担う孔辺細胞（気孔、stoma）や、多様な形態を持つ毛状突起（trichome）、表皮細胞を保護するクチクラ層（cuticle）などが含まれます。

維管束植物では、表皮は一層の細胞が密に並んでおり、その表面にはクチクラ層が存在します。表皮細胞はほぼ均一ですが、一部の種では毛状突起が形成され、またガスの交換を行うための気孔が存在します。この気孔は、孔辺細胞という細長い細胞が二つ並んだ構造によって開閉され、通常は葉の裏面に多く見られます。なお、表皮細胞は葉緑体を持たないのに対し、孔辺細胞は葉緑体を持っています。植物においては、表皮は特定の組織系として位置づけられています。

動物の表皮

動物界において、表皮は主に上皮組織で構成されています。無脊椎動物では、単層の上皮が表皮を形成していますが、ほ乳類では外胚葉から発生した重層の扁平上皮によって構成されます。動物の皮膚は、表皮だけでなく、真皮や皮下組織とともに形成されており、表皮は角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分かれています。この構造により、動物は外部からの刺激や干渉から身を守っています。

魚類の場合、一般的に角質層を持たず、最外層は粘液で覆われています。この粘液にはさまざまな生体防御に関連するタンパク質が含まれており、特にレクチンが代表的な成分です。レクチンは、物質の結合や免疫反応に重要な役割を果たしています。

関連項目

• - 樹皮
• - 細胞壁
• - メラニン細胞

参考文献

• - 畑井喜司雄ほか『魚病学』学窓社 1998年 ISBN 4873620775
• - 日本獣医解剖学会編集『獣医組織学 改訂第二版』学窓社 2003年 ISBN 4873621135

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