周防猿まわしの会

周防猿まわしの会

周防猿まわしの会は、山口県光市に拠点を置く猿まわしの団体で、1977年12月2日に設立されました。2004年には光市の無形民俗文化財に指定され、地域に根ざした伝統的な芸能を継承しています。

猿まわしは数百年の歴史を持つ日本の伝統芸能ですが、その多くは差別の影響を受けて消滅の危機に瀕していました。特に明治維新後は、山口県の周防だけがその伝統を今に残すことができました。しかし1963年には活動が途絶えてしまい、猿まわし自体がタブー視されるようになってしまいました。

1970年、俳優の小沢昭一は「日本の放浪芸」の調査を行い、その中で光市の猿まわしに出会います。これが周防猿まわしの会創設のきっかけとなり、彼は猿まわし師の孫で光市議会議員の村﨑義正と出会い、猿まわしの復活に向けた行動が始まります。義正の弟である村﨑修二と詩人の丸岡忠雄は、猿まわしの実態を調査し、その結果を雑誌に連載しました。このことが、民俗学者の宮本常一やその他の研究者からの支援を受け、「猿まわしの復活」へとつながっていきました。

1977年12月、当団体が正式に結成され、村﨑義正が初代会長となります。光市などの地方自治体からの補助金や、企業や市民からの寄付を活用して、最初の活動をスタートさせました。村﨑の子息である村﨑太郎に猿まわし師としての技術を伝承し、伝統的な調教方法を学ぶために努力を重ねました。その結果、1978年には調教法が確立され、初めての公演が「光市五万人虹の祭典」で行われました。

この公演は、NHK総合テレビでの放送があり、多くの反響を集めました。後にはドキュメンタリー映画も制作され、調教の過程が詳細に記録されることで、世間の注目を集めることになりました。

その後、山口県から無形文化財への指定が打診されましたが、義正は自治体からの資金援助を受けることに依存せずに活動する方向性を選びました。しかし、この決断は弟の修二との意見対立を招き、最終的には若いメンバーが会を離脱する事態に発展します。

周防猿まわしの会では、経済的な自立を目指し、街頭芸であるバタ打ちを中心に活動を行いました。一日の公演数を増やすことで、1980年代には売上の安定を図りました。また、マスメディアとのコラボレーションが成功を収め、特に1987年のウォークマンのCMや、フジテレビのバラエティ番組での露出を通じてさらなる人気を博しました。

2007年現在、阿蘇猿まわし劇場（熊本県）や河口湖猿まわし劇場（山梨県）を運営し、猿まわし師の育成や日本国外での公演も行っています。周防猿まわしの会は、伝統的な猿まわし芸の保存と発展に力を入れ、地域の文化を国内外に広めようとしています。

主なテレビ出演

• - NHKドラマスペシャル「父の詫び状」（1986年）では、劇中舞台で猿芝居を披露しました。

このように、周防猿まわしの会は地域文化の継承とともに、エンターテイメントとしての猿まわしを守り、未来に向けて発展し続けています。

もう一度検索