村﨑太郎

村﨑太郎：伝統芸能を進化させた猿まわし師

村﨑太郎氏は1961年生まれの猿まわし師です。山口県光市出身で、実父である村﨑義正氏が1977年に「周防猿まわしの会」を結成したことをきっかけに、高校2年生のときに猿まわし芸の後継者として指名されました。相棒であるニホンザルの次郎と共に、伝統的な猿まわし芸に漫才やコントなどの演芸要素を取り入れ、独自のスタイルを確立しました。

猿まわし芸の進化とメディアへの露出

太郎氏は1980年に上京し、1981年には国立劇場に出演。その後、角川映画「悪霊島」にも出演するなど、早くからメディアへの露出を増やしていきました。1988年にはフジテレビのバラエティ番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』で、次郎との「反省」のポーズが人気を博し、注目を集めました。

この人気をきっかけに、太郎氏はさらなる演出の工夫を重ね、1991年には「新三共胃腸薬」のCMでACC全日本CMフェスティバル優秀賞を受賞。同年、文化庁芸術祭大賞も受賞するなど、高い評価を得ました。「周防猿まわしの会」から独立後、1992年にはアメリカに進出し、ニューヨーク・リンカーン・センターでの公演や数々のテレビ出演を果たし、アメリカ連邦議会から「日本伝統芸能」の称号を授与されました。さらに、1995年には中国でも公演を行い、上海雑技団にゲスト出演するなど、グローバルな活躍を見せています。

「太郎倶楽部」と日光さる軍団の復活

太郎氏と次郎、そして一門による猿まわし団体「太郎倶楽部」を設立し、1996年には常設劇場「次郎おさるランド」（千葉県市原市）をオープンしました。各地での巡業公演と併せ、精力的に活動を続けました。2007年には、太郎と次郎の半生を描いたドラマ「太郎と次郎〜反省ザルとボクの夢〜」（フジテレビ系）が放映され、坂口憲二氏が太郎氏を演じました。

2008年からは「太郎倶楽部」のマネージメント業務を株式会社タイタンに移管。同年、自身の被差別部落出身であることを公表し、差別問題に関する講演活動も行っています。2015年には、かつて存在した日光猿軍団を「日光さる軍団」として復活させました。

相棒・次郎

次郎は太郎氏とコンビを組むニホンザルで、2006年生まれの四代目にあたります。初代次郎は1989年に亡くなり、その後も二代目次郎、三代目次郎と引き継がれてきました。2007年のドラマでは、二代目次郎の子である輝（ひかる）が次郎役を演じました。

受賞歴と著作

太郎氏は1991年に芸術祭賞演芸部門を受賞。また、栗原美和子氏との共著『橋はかかる』では被差別部落問題について執筆しています。

まとめ

村﨑太郎氏は、伝統芸能である猿まわしに新しい息吹を吹き込み、国際的な活躍も果たした稀有な人物です。被差別部落出身という自身の出自を公表し、差別問題への取り組みも積極的に行うなど、その活動は猿まわし芸の枠を超えています。相棒である次郎と共に築き上げた功績は、日本の芸能史に大きな足跡を残しました。彼の活動は、伝統芸能の継承と発展、そして社会問題への意識向上という、多角的な視点から評価されるべきでしょう。

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