呪われた町

呪われた町 ('Salem's Lot)

スティーヴン・キングが1975年に発表した長編ホラー小説『呪われた町』（原題：'Salem's Lot）は、静かな田舎町に潜む恐怖を描き出す傑作です。日本では永井淳氏による翻訳で、1983年に集英社から刊行されました。

あらすじ

物語は、20世紀のアメリカ、メイン州に位置するセイラムズ・ロットという田舎町を中心に展開します。平穏に見えた町に、不気味な事件が次々と発生。その始まりは、曰く付きのマーステン館への引っ越し、そして謎めいた骨董家具店の開業でした。住民の失踪、そして説明のつかない死が相次ぎ、町は徐々に崩壊していきます。見えない恐怖、「吸血鬼」の存在が、セイラムズ・ロットを絶望の淵へと突き落としていくのです。

主な登場人物

ベン・ミアーズ: 小説家。セイラムズ・ロットに下宿し、この町を舞台にした小説を執筆中。幼少期をセイラムズ・ロットで過ごした経験を持つ。数年前に交通事故で妻を亡くしている。32歳。
スーザン・ノートン: ベン・ミアーズの恋人。画家の卵で、通称スージー。以前はフロイド・ティビッツと交際していた。
マーク・ペトリー: セイラムズ・ロットの住人である12歳の少年。
マット・バーク: セイラムズ・ロットのハイスクールの教師。
ドナルド・キャラハン: セイラムズ・ロットの祭司。
ジミー・コディ: セイラムズ・ロットの医師。
パーキンズ・ギレスピー: セイラムズ・ロットの保安官。
カート・バーロウ: R・T・ストレイカーと共にセイラムズ・ロットで骨董家具店を開業。
リチャード・スロケット・ストレイカー: カート・バーロウと共にセイラムズ・ロットで骨董家具店を開業。マーステン館を購入した人物。

映像化作品

『呪われた町』は、その人気から何度も映像化されています。

死霊伝説（1979年）: トビー・フーパー監督によるテレビドラマ（ミニシリーズ）。日本では劇場公開もされた。
新・死霊伝説（1987年）: 設定を借りた続編。
死霊伝説 セーラムズ・ロット（2004年）: ロブ・ロウ主演のミニシリーズ。
セイラムズ・ロット（2022年）: ゲイリー・ドーベルマン監督、ルイス・プルマン主演の映画。

後世への影響

小野不由美氏の小説『屍鬼』は、本作へのオマージュ作品として知られています。キングの描く恐怖の世界観は、後世の作家にも多大な影響を与えていると言えるでしょう。

その他の関連情報

キャッスルロック: キング作品に頻繁に登場する架空の町。
ダーク・タワー: キングの壮大なファンタジーシリーズ。
吸血鬼: 本作の主要なテーマ。
* Jelsarem's Rod: 本作から名前を引用したバンド。

『呪われた町』は、スティーヴン・キングが描く恐怖の世界を堪能できるだけでなく、人間の心の闇や、共同体の崩壊を描いた深遠な作品でもあります。未読の方はぜひ手に取ってみてください。

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