死霊伝説

死霊伝説（1979年）

『死霊伝説』は、1979年にアメリカ合衆国で製作されたホラー映画です。オリジナルタイトルは『Salem's Lot』。ホラー界の巨匠、スティーヴン・キングが1975年に発表した同名の長編小説「呪われた町」を原作としており、監督はカルト的な人気を誇るホラー映画『悪魔のいけにえ』を手がけたトビー・フーパーが務めました。

本作の特異な点として、その公開形態が挙げられます。アメリカでは、もともとCBSのテレビミニシリーズとして企画・放送されました。数時間の尺を持つ連続ドラマ形式で、原作の物語を比較的丁寧に映像化する試みでした。

一方、日本ではその放送形態とは異なり、劇場公開映画として発表されました。これは、アメリカで放送されたミニシリーズ版を日本の配給側が独自に再編集し、上映時間を短縮して一本の映画としてまとめ上げたものです。そのため、アメリカでミニシリーズを視聴した観客と、日本で劇場版を観た観客とでは、作品に対する印象や理解度が異なる可能性がありました。劇場版の公開後、後にWOWOWなどのメディアで、編集されていないオリジナルのテレビミニシリーズ版、いわゆる「完全版」が放送される機会も設けられ、日本のファンも本来の姿に近い形で作品を鑑賞できるようになりました。この複数のバージョンが存在するという経緯は、本作を語る上で欠かせない要素となっています。

物語は、故郷であるマールステンズ・ロットという町に戻ってきた作家のベン・ミアーズを中心に展開します。彼が町に戻ったのと時を同じくして、古びた屋敷に引っ越してきた謎めいた骨董商ストレイカーと、その正体不明の主人バーロウの存在が、静かだった町に不穏な影を落とし始めます。

主要なキャストは以下の通りです。

ベン・ミアーズ：デヴィッド・ソウル
日本語吹替：仲村秀生（初回放送：1984年8月6日 TBS『劇映画』版）
リチャード・ストレイカー：ジェームズ・メイソン
日本語吹替：大久保正信（初回放送：1984年8月6日 TBS『劇映画』版）
スーザン・ノートン：ボニー・ベデリア
マーク・ペトリー：ランス・カーウィン
ジェイソン・バーク：リュー・エアーズ
カリー・ソーヤー：ジョージ・ズンザ
カート・バーロウ：レジー・ナルダー
ジューン・ペトリー：バーバラ・バブコック
エヴァ・ミラー：マリー・ウィンザー
ゴードン・フィリップス：エリシャ・クック・Jr
ビル・ノートン：エド・フランダース
マイク・ライヤーソン：ジェフリー・ルイス
* ラリー・クロケット：フレッド・ウィラード

トビー・フーパー監督の手腕と、スティーヴン・キングの原作が持つ独特の恐怖が融合したこの作品は、その後のホラー映画にも影響を与えたとされています。特に、ミニシリーズとして製作されたことが、後のキング原作の映像化作品におけるテレビシリーズ化の流れにも繋がったと考えられます。テレビというメディアの特性を活かしつつ、劇場版としても公開されたことで、より幅広い層に認知されることとなったホラー作品と言えるでしょう。

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