味噌川ダム

味噌川ダムの概要と歴史

味噌川ダム（みそがわダム）は、長野県木曽郡木祖村に位置し、木曽川水系に建設されたダムです。このダムは高さ140メートルのロックフィルダムで、多機能な水資源管理を目的としています。具体的には、洪水調節、不特定利水、上水道、工業用水、そして水力発電といった多様な用途に利用されています。ダムによって形成された人造湖の名前は「奥木曽湖（おくぎそこ）」で、これはダム湖百選にも選定されています。

ダム建設の背景

木曽川の水力発電事業は大正時代から活発に進められ、多くのダムが建設されました。特に、戦前には落合ダムや笠置ダム、戦後には読書ダムや山口ダムが建設され、木曽川流域は電源供給地として重要な役割を果たしてきました。しかし、上流部の治水対策は遅れており、水害による大きな被害が発生していました。

このため、1968年には木曽川の上流部、特に木祖村で新たな多目的ダムの建設を目指した「木曽川総合開発事業」が始まりました。急速に進む都市化と人口増加により、水資源の確保が一層重要になり、1973年にはダム事業が水資源開発公団に移管され、味噌川ダムの建設が正式に決定されました。ダムは1996年に完成し、木曽川における最新のダムとなりました。これにより、愛知用水の水源のひとつとしても重要な役割を担うこととなりました。

交通アクセスと周辺施設

味噌川ダムへのアクセスは、名古屋方面から中央自動車道の中津川インターチェンジで国道19号を経て、薮原交差点を左折するルートが便利です。また、東京や塩尻方面からは中央自動車道の塩尻インターチェンジを利用し、同様に国道19号を南下し、新鳥居トンネルを抜けた後に右折することが出来ます。各所には案内板が設けられており、迷うことなくダムの天端に到達できます。ダムの右岸には管理所、左岸には「木曽川源流ふれあい館」として知られる味噌川ダム資料館があります。

ダムの天端からは、高さ1,130メートルの位置にある中央アルプスの美しい風景が広がっており、右岸の展望台からはダムと奥木曽湖の見事な眺望を楽しむことができます。奥木曽湖は、2005年にダム湖百選のひとつに認定されています。また、ダム直下では、利水放流水を利用した水力発電が行われており、最大4,800キロワットの電力を発生可能な奥木曽発電所が稼働しています。

環境保護と地域への影響

味噌川ダムの建設により、木曽村のヒノキ林が水没する問題が起きましたが、村のリーダーたちは、水資源開発公団や下流の受益自治体との交渉を通じて、補償金を確保することに成功しました。このような補償の歴史的な事例は非常に珍しく、地域の人々にとっても重要な一歩となりました。

イベント情報

毎年7月には「やぶはら高原ハーフマラソン」が開催されており、この大会は奥木曽湖を一周するコースで、日本陸上競技連盟に認定されています。ダム周辺の美しい自然の中で、スポーツを楽しむことができる貴重なイベントです。

味噌川ダムは、ただのインフラにとどまらず、地域の歴史や自然、さらには地域住民との関わりを持った重要な存在となっています。

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