味土野

味土野（みどの）について

味土野（みどの）は、京都府京丹後市弥栄町須川に位置する小字であり、特に江戸時代の歴史において重要な場所として知られています。この地域は、明智光秀の三女である玉、後の細川ガラシャが幽閉された場所として名を馳せています。彼女は天正10年（1582年）の本能寺の変の後、細川忠興の命によりここに閉じ込められました。

名称の由来

現在の「味土野」との表記が知られていますが、かつては「三戸野」と書かれていました。細川ガラシャが詠んだ歌にも「三戸野山」という表現が見受けられます。「ミド」の語源は「水の浸しやすい処」や「水の出口」を示し、この地が水源地に近い分水嶺であることに由来していると考えられています。また、ガラシャの御殿があったためにこの地名がつけられたという説も存在しますが、郷土史家の澤潔はこの解釈に異を唱えています。

地理的特徴

味土野は宇川の源流近く、標高613メートルの金剛童子山の南東麓に位置し、集落の中心部は360メートルに達します。ここは金剛童子山の八合目に相当する地点であり、周囲には広大な自然が広がっています。集落に至る道のりには約4kmにわたって人家が存在していないため、静寂に包まれた環境が特徴です。
樹々に包まれた高原は四季ごとに美しい景観を生み出し、金剛童子山への登山道も通じています。登頂までの所要時間は約50分ほどです。冬になると2メートルを超える積雪が見られる豪雪地帯でもあります。

味土野における集落の現状

現在、味土野に残る人家は非常に少なく、ガラシャが幽閉されていたとされる場所は小高い丘の上にあります。ここには「女城」や「おさきの岡」といった呼び名もあります。この丘には「細川忠興夫人隠棲地」の石碑が立っており、歴史の証人となっています。丘の向こう側にはかつてガラシャを守る武士が待機していた「男城」跡も存在します。ただし、20世紀末以降、集落の中にあったガラシャに関する名所は次第に姿を消し、今も残るのは井戸跡だけとなっています。

自然の美しさと滝の魅力

味土野集落の東側には宇川の支流が流れています。約500メートルの距離にある味土野ガラシャ大滝は、丹後半島を代表する美しい滝です。落差は約20メートルから35メートルとも言われ、その姿は見る人を魅了します。この滝は京都府レッドデータブックでも保護対象とされており、地域住民の大切な観光資源となっています。

平成以降の味土野

近年、味土野は訪れる人々によって注目されており、ガラシャにちなんだ地域の祭りも行われています。2019年には新たなプロジェクトで東屋が設置され、地域の魅力発信に努めています。また、地元住民による山菜摘みやイノシシを使った料理体験など、アクティビティも充実しています。

味土野は自然の美しさや歴史的な背景を持つ特別な場所であり、往時の面影を今に伝えています。ガラシャの幽閉地としての歴史を持ちながら、地域の人々と共に新たな歴史を刻んでいく場所でもあります。

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