弥栄町

弥栄町（やさかちょう）とは

弥栄町は、かつて京都府竹野郡に属していた町で、丹後地方の一部でした。2004年4月1日に京丹後市が発足したことで廃止され、その歴史に幕を閉じました。

歴史と文化

この地は、戦国時代の武将である明智光秀の娘、細川ガラシャが一時的に隠棲した場所として知られています。また、古くは平城京に赤米を献上していた歴史があり、郷土史家芦田行雄氏が岡山県総社市の神社から譲り受けた赤米の復活栽培に成功した場所でもあります。この出来事が、日本全国での古代米一般化を促進する契機となりました。

町の象徴

町の象徴として、町章は「ヤサカ」を図案化し、住民の和と発展を願う円で表現されました。町の木は赤松、花は福寿草が選ばれ、特産品としてはチューリップ、かぶら、サツマイモ、赤米酒、スイス村せんべいなどが親しまれていました。

地理

弥栄町は、丹後半島の内陸部に位置し、西部には盆地、東部には山々が連なっています。総面積は80.38平方キロメートルでした。東部の山地は、なだらかな山頂と深く浸食された谷が特徴的で、中部は標高の低い丘陵地が広がります。竹野川周辺には比較的狭い平野部があり、過去には軍用飛行場の建設候補地にもなりましたが、気象条件から実現には至りませんでした。変化に富んだ地形と気候が、多様な動植物の生息環境を育み、特に山地には自然植生に近いブナ林やシデ林が残されています。中でも「味土野のシデ林」は環境庁（現環境省）の選定を受けている貴重な群落です。また、京都府の天然記念物であるアベサンショウウオの生息も確認されています。

隣接していた自治体

弥栄町は、宮津市、与謝郡伊根[[町]]、竹野郡丹後町・網野町、中郡峰山町・大宮町と隣接していました。

歴史

1889年（明治22年）4月1日に町村制が施行された際、吉野村、溝谷村、鳥取村、深田村、野間村が発足しました。その後、1933年（昭和8年）に吉野村、溝谷村、鳥取村、深田村が合併して弥栄村となり、1955年（昭和30年）には弥栄村と野間村が合併し、弥栄町が誕生しました。

しかし、2004年（平成16年）4月1日、弥栄町は丹後町、網野町、峰山町、大宮町、久美浜[[町]]と合併し、京丹後市となりました。

行政と産業

弥栄町は、天平時代には絹織物と農業が基幹産業として栄え、特に鳥取郷からはあしぎぬが、芋野郷からは赤米が献上されていました。戦後の経済成長の中で過疎化が進んだため、福祉の町づくりを重視しました。しかし、2005年には、元町長が公共工事の入札情報を漏洩したとして逮捕される事件も発生しました。

経済と教育

町内には、竹野酒造（代表銘柄：弥栄鶴、亀の尾蔵舞）、吉岡酒造場（代表銘柄：吉野山）、大下倉醤油醸造所（銘柄：だいまるしょうゆ）といった地域を代表する企業がありました。教育面では、弥栄町立の小学校が5校（溝谷、鳥取、黒部、吉野、野間）と、中学校が1校（弥栄中学校）ありました。

名所・旧跡・観光スポット

弥栄町には、溝谷神社（府指定文化財の燈籠がある）、春日神社、大宮神社（「野中の田楽」は選択無形文化財）、宇川（丹後半島最大の淡水魚生息地）などの名所がありました。また、味土野にはガラシャ夫人が隠棲したとされる地や、大田南5号古墳（日本最古の紀年銘鏡が出土）などの史跡も存在します。観光スポットとしては、弥栄町森林公園スイス村（キャンプ場、バンガロー、スノーパーク、ホテルなど）や、フルーツ王国やさか（丹後王国フルーツガーデン）、弥栄あしぎぬ温泉、丹後あじわいの郷などがありました。

出身著名人

弥栄町出身の著名人としては、推理作家・文芸評論家の平林初之輔、気象学者の増田善信、郷土史家の芦田行雄、英文学者・翻訳家・小説家の横島昇、トラベルコーディネーターの芦田久美子、ピアニストの安達朋博などがいます。

参考文献

弥栄町に関する資料として、『丹後の現況 平成3年刊』『丹後の現況 平成14年刊行』『新たなる旅立ち』『ふるさと弥栄の自然』、京丹後市教育委員会による『京都府京丹後市 寺社建築物調査報告書 弥栄町』などが挙げられます。

関連項目

弥栄町は、「ないないサミット」の設立を呼びかけたり、町内の離村・廃村問題も抱えていました。

外部リンク

旧6町 京丹後市や国立国会図書館Web Archiving Projectに弥栄町の情報が残されています。

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