命令型プログラミング

命令型プログラミング：状態の変化を操るプログラミング

命令型プログラミングは、プログラムの状態を段階的に変化させる命令を基本とするプログラミングパラダイムです。プログラムは、一連の命令を順次実行することで、初期状態から最終状態へと変化していきます。このパラダイムは、手続き型、構造化、モジュール、オブジェクト指向プログラミングなど、様々なプログラミングスタイルを包括する広範な概念です。

命令型プログラミングでは、各命令はコンピュータの状態に何らかの変化をもたらします。例えば、変数への値の代入、メモリの操作、入出力処理などが該当します。この状態の変化は、プログラムの実行結果に直接影響を及ぼします。このような状態の変化を伴う命令の実行は「副作用」と呼ばれ、命令型プログラミングの重要な特徴です。

命令型プログラミングは、「どう処理するか（how a program operates）」を重視するアプローチと言えます。プログラムの動作は、命令のシーケンスとその実行順序によって決定されます。これに対し、宣言型プログラミングは「何が達成されるか（what a program accomplishes）」を重視し、プログラムの動作は、入力と出力の関係によって定義されます。

命令型、宣言型、手続き型の比較：商品代金計算の例

命令型、宣言型、手続き型プログラミングの違いを、商品代金計算の例を使って説明します。特典ポイント5%と消費税10%のルールは、計算式外部の状態として保持されているとします。

宣言型: 100円 + 200円の計算に対して、単純に300円という結果を返します。状態は考慮しません。これは数学的な演算に近く、オペレータの定義をそのままに解釈できます。
命令型: 100円 + 200円の計算を行い、その結果に加えて、特典ポイント15点を状態として保存します。計算式外部の状態を変化させる命令を実行します。
* 手続き型: 100円 + 200円の計算結果に対し、状態に保存されている消費税10%を加算し、場合によっては特典ポイントを割引いた最終金額を計算します。計算式は状態を参照し、状態によって結果が変化します。状態遷移がオペレータの結果に影響を与える副作用が特徴です。

手続き型は、命令を順次実行し、メモリに値を代入することで状態を変化させるアプローチです。命令型と手続き型は、状態の変化と状態への依存という点で密接に関連しており、多くの場合、融合的に扱われます。命令型パラダイムは、限られたメモリ容量で効率的な処理を実現できるため、ノイマン型コンピュータのプログラミングの基本となっています。

命令型プログラムの概要

ほとんどのコンピュータハードウェアは、命令型プログラミングに基づいて動作します。機械語は命令の集合体であり、プログラムの状態はメモリのデータによって定義されます。高級言語では、変数や複雑な構文が使用可能ですが、基本的なパラダイムは同じです。レシピやチェックリストも、命令型プログラミングと類似したコンセプトと言えます。

命令型言語では、代入文、ループ文、条件分岐文、無条件分岐文などが基本的な構成要素となります。代入文は、値をメモリに格納します。ループ文は、特定の条件が満たされるまで、または指定回数、命令のブロックを繰り返します。条件分岐文は、条件によって実行する命令のブロックを切り替えます。無条件分岐文は、プログラムの実行位置をジャンプさせます。

命令型言語の歴史

初期の命令型言語は、機械語でした。その後、アセンブラ、FORTRAN、ALGOL、COBOL、BASIC、Pascal、C言語、Adaなどの高水準言語が登場し、プログラム開発の効率性が向上しました。1980年代以降は、オブジェクト指向言語が台頭し、命令型プログラミングのスタイルはオブジェクト指向プログラミングとも融合していきました。

命令型プログラミングは、コンピュータ科学の歴史と深く結びついており、現代の多くのプログラミング言語の基礎となっています。そのシンプルさとハードウェアへの親和性から、今後も重要なプログラミングパラダイムとして存在し続けるでしょう。

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