和田浩一

和田 浩一

日本の運輸・国土交通行政において要職を歴任した官僚、和田浩一（わだ こういち）氏は、1964年（昭和39年）1月10日に埼玉県で生まれました。開成中学校・高等学校を経て、1986年3月に東京大学法学部を卒業。国家公務員採用Ⅰ種試験（法律）に合格し、翌1987年4月に運輸省へと入省し、そのキャリアをスタートさせました。

入省後、和田氏は運輸省およびその後の国土交通省において、多岐にわたる部署で幅広い経験を積みました。キャリアの初期には、運輸省北海道運輸局企画部地域交通企画課長、運輸省航空局飛行場部新東京国際空港課整備推進室調整官、運輸省海上保安庁警備救難部警備第二課補佐官などを歴任しました。また、1996年8月からは国際観光振興会ロンドン観光宣伝事務所に勤務するなど、国際的な業務にも携わりました。

その後も、運輸省運輸政策局情報管理部情報企画課補佐官、運輸省航空局監理部航空事業課補佐官、国土交通省航空局監理部航空事業課長補佐といった航空行政関連のポストや、国土交通省近畿運輸局自動車交通部長、国土交通省大臣官房総務課企画官（海事局）、国土交通省大臣官房人事課企画官などを務め、行政官としての視野を広げました。航空分野では、国土交通省航空局飛行場部および空港部で関西国際空港・中部国際空港監理官も務めました。

2008年には、短期間のうちに中山成彬氏、金子一義氏と二代にわたり国土交通大臣秘書官事務取扱を務め、政務の中枢近くで職務にあたりました。その後、国土交通省観光庁観光地域振興部観光資源課長、国土交通省大臣官房広報課長を経て、再び航空行政に戻り、国土交通省航空局航空ネットワーク部首都圏航空課長、同航空ネットワーク部長を歴任し、日本の航空交通ネットワーク計画に深く関わりました。

キャリアの重要な転換点となったのは、2017年7月7日に就任した国土交通省航空局次長です。この時期には、いわゆる森友学園を巡る問題において、当時の財務省理財局長らとの協議の事実関係に関する調査に関わるなど、公的な説明責任が問われる難しい局面にも対応しました。

2018年7月31日には観光庁次長に就任し、同時に内閣官房の内閣審議官や観光戦略実行推進室次長、歴史的資源を活用した観光まちづくり連携推進室審議官（同年9月まで）を併任するなど、観光立国推進に向けた多角的な取り組みを推進する役割を担いました。

2019年7月9日には、日本の空の行政を統括する国土交通省航空局長に就任しました。この任期中には、羽田空港の機能強化として計画された新しい飛行ルートの開始に向けた環境整備を主導しました。また、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生に伴い、航空業界が未曽有の危機に直面する中で、その対策の陣頭指揮にあたりました。

そして2021年7月1日、日本の観光政策を担うトップポストである観光庁長官に就任しました。新型コロナウイルスの影響により深刻な打撃を受けた日本の観光産業の回復、そして持続可能な観光の推進といった重要な課題に精力的に取り組みました。

約2年間の観光庁長官としての職務を終え、2023年（令和5年）7月4日に国土交通省を退官しました。35年以上にわたる官僚生活を通じて、運輸、航空、観光といった多岐にわたる分野で日本のインフラ整備、国際交流、地域活性化に貢献し、重要な政策課題への対応に尽力しました。

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