和田登

和田登は、1936年1月1日に長野県長野市で生まれました。信州大学教育学部を卒業後、1956年に児童文学同人誌「とうげの旗」を創刊し、作家活動をスタートさせました。1959年からは公立小学校の教師として31年間教鞭を執りながら、1966年に「虫」で第1回日本児童文学者協会短編賞を受賞し、児童文学作家としての地位を確立しました。

彼の作品は、反戦や反差別の立場から描かれるものが多く、社会的なメッセージが込められています。また、人物伝、怪奇もの、児童向けSFなど、多様なジャンルを手掛けており、その作品群は非常に多岐に渡ります。特に、中山晋平の伝記は複数回執筆しており、彼の作家としての深い関心を示すものとなっています。1987年からは、挿絵の多くを和田春奈が担当しており、共同制作としても注目されています。

1977年には、松代大本営設営に動員された朝鮮人を描いた『悲しみの砦』で第1回塚原健二郎文学賞を受賞しました。2005年には「武器では地球を救えない」で産経児童出版文化賞を受賞しています。これらの受賞歴からも、彼の作品が社会的な意義を持つことがわかります。

また、信州児童文学会の事務局長や編集委員を務めるなど、地域における児童文学の発展にも貢献しています。2011年4月1日から2017年3月31日までは、黒姫童話館の館長を務め、その活動は多岐に渡ります。

著書には、『昆虫人間の朝』『木の上のちっちゃな宇宙船』『ちいさこべのふえ』『望月の駒』『川中島の兵火』などがあります。また、松代大本営をテーマにした『キムの十字架』や、中国残留孤児の父を描いた『望郷』など、歴史的な出来事を背景にした作品も多く手掛けています。その他、『恐竜公園』シリーズや、UFOや超能力を題材にした作品など、幅広いテーマで児童文学を執筆しています。さらに、エスペラントをテーマにした『武器では地球を救えない』など、国際的な視点を持つ作品も発表しています。

これらの活動を通じて、和田登は児童文学の世界に大きな足跡を残し、今もなお多くの読者に影響を与え続けています。彼の作品は、子どもたちに夢や希望を与えるだけでなく、社会問題に対する意識を高める上で重要な役割を果たしています。

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