和霊騒動

和霊騒動について

和霊騒動（われいそうどう）は、江戸時代初期の1620年に宇和島藩内で発生したお家騒動です。この騒動は、藩政の実権を握っていた山家清兵衛が、同藩の重臣である桜田玄蕃と対立し、結果として彼自身とその家族が襲撃されるという悲劇を招くことになりました。

背景

元和6年6月29日、宇和島藩は成立以来の財政的困難に直面しており、伊達政宗の庶長子である伊達秀宗の指導の下で運営されていました。藩政の実権を掌握していたのは筆頭家老の山家清兵衛です。彼は財政上の課題にも頭を悩ませており、特に政宗から借り入れた6万両の返済による負担は大きかったです。

さらに、元和5年には大坂城の修復工事を請け負ったことが引き金となり、山家と桜田の間には対立が生まれました。山家は政宗からの信任を受け、桜田は彼に対抗する形で権力を増していきました。さらには、反山家派による清兵衛の暗殺未遂事件もあり、藩内に緊張が高まっていたことを物語っています。

襲撃の発生

事態が急変したのは元和6年6月29日の深夜、雨の降る中でのことでした。山家邸は襲撃を受け、清兵衛とその子供たち、さらに隣家の者たちが無惨に命を落としました。清兵衛の四男は井戸に投げ込まれ、他の家族はかろうじて助かったものの、藩内の動揺は避けられませんでした。

この襲撃については、秀宗の命によるものとされ、桜田一派がその実行に関与したと考えられていますが、桜田本人はこの事件当日には他の仕事で不在でした。事件後、秀宗は一切を幕府や政宗に報告せず、さらなる騒動を引き起こすこととなります。

結果と影響

事件に対して秀宗は釈明を試み、彦根藩や仙台藩の介入を仰ぎますが、宇和島藩の窮地は続きました。そして、寛永9年には清兵衛の政敵が相次いで死亡する奇妙な事故が発生。この事実から、清兵衛の霊が怨霊となり復讐を果たしているという噂が広まりました。

このため、秀宗は新たに神社を建立し、清兵衛を鎮める努力をしました。後に、伊達村候による清兵衛邸跡に新しい和霊神社が創設され、清兵衛の霊を慰める場が設けられました。

現代への影響

宇和島には今なお和霊伝説が残っており、特に子供たちは蚊帳を吊る季節になると、和霊伝説を聞かされます。襲撃の日には蚊帳を吊らないという風習も存在していますが、時代と共にその重要性は薄れてきています。しかし、多くの人々にとってこの伝説は地域の歴史として特別な意味を持っています。

なお、1986年頃には当時の山家家と桜田家の当主が「そのような伝説は聞いたことがない」という発言をしており、歴史の真実と伝説が交差する地点が注目を集めることとなりました。

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