和霊神社

和霊神社の概要

和霊神社（われいじんじゃ）は、愛媛県宇和島市和霊町に鎮座する神社です。旧社格は県社であり、現在は神社本庁の別表神社となっています。この神社は、宇和島藩の家老であった山家公頼（やんべきんより、通称：清兵衛）を主祭神として祀っています。

祭神

主祭神:

山家公頼（やんべ きんより）

山家公頼は、伊達政宗の家臣でしたが、1615年（元和元年）に政宗の長男・秀宗が宇和島に移封された際、宇和島藩の家老として藩政を支えました。当時の宇和島は、前の領主の悪政により疲弊していましたが、公頼は租税軽減や産業振興を行い、藩の立て直しに大きく貢献しました。

しかし、1620年（元和6年）に藩主・秀宗は、公頼を嫉妬する藩士の讒言を信じ、公頼とその息子たちを殺害してしまいます。この事件は「和霊騒動」として知られています。

沿革

和霊神社は、宇和島市街地の北端にある鎌江城跡に鎮座しています。公頼を慕う領民たちは、密かに城北の森安にある八面荒神の境内に小さな祠を建てて、公頼一族の霊を祀りました。その後、公頼の殺害に関与した者が落雷や海難などで次々と変死するという異変が起こり、公頼の無実も明らかになったため、1653年（承応2年）に藩主・秀宗は公頼を祀る神社を創建し、「山頼和霊神社」と称しました。

その後、参拝者が増え、社地が狭くなったため、向山（現在の宇和島市立城北中学校内）、次いで森安へと移されました。さらに、1731年（享保16年）には、第四代藩主・伊達村年の治世に、鎌江城跡の一角に再び社地が移され、1735年（享保20年）に現在の場所に遷座しました。1919年（大正8年）には県社に列せられ、1953年（昭和28年）には神社本庁の別表神社となりました。

1945年（昭和20年）には空襲で焼失しましたが、1957年（昭和32年）に見事に再建されました。

境内

境内にある社叢は、1974年に市の天然記念物に指定されています。

祭事

1月2日・3日には、刀剣武術の居合の奉納が行われます。7月23日・24日には、例祭である和霊大祭が盛大に執り行われます。

現地情報

所在地: 愛媛県宇和島市和霊町1451

交通アクセス: JR四国予讃線宇和島駅から徒歩約7分

ロケ地として: 映画『南海の狼火』（1960年、日活映画）のロケ地にもなりました。

仙台との繋がり

山家清兵衛公頼が仙台に残した長男・喜兵衛の子孫である山家豊三郎（頼道）は、宇和島の和霊神社から分霊を「山家明神」として、東一番丁の自邸に祀っていました。その後、「山家明神」は「和霊神社」と改称され、明治16年（1883年）には屋敷の移転に伴い、東二番丁と立町通り角付近の屋敷地内に遷座しました。

昭和20年（1945年）7月の仙台空襲で全焼しましたが、昭和48年（1973年）には山家家の移転とともに台原（現在の青葉区台原）に遷座しました。昭和52年（1977年）には、かつて豊三郎が屋敷を構え「山家明神」を祀っていた東一番丁を前身に持つ一番町一番街商店街から、活性化の祈願と町の守護神として再び和霊神社をという声が高まり、ジャスコ（現在の仙台フォーラス）の屋上に分霊・遷座することとなりました。

毎年7月には「一番町三社まつり」の一社として、藤崎えびす神社、野中神社の神輿とともに和霊神社の神輿が仙台市の中心部商店街を渡御します。

和霊信仰

和霊信仰は、中四国地方を中心に信仰されており、1982年現在では、小規模社や境内末社を含め、西日本と9県（愛媛県82社、岡山県26社など）と東北1県（仙台市2社）で159社が確認されています。勧請年が早いものとしては、高知県四万十町六反地の和霊神社（1737年）と、愛媛県今治市玉川町法界寺の和霊神社（1746年）があります。

四万十町の和霊神社は、公頼の妻スミが亡くなった地という言い伝えがあり、公頼と妻スミが併せて祀られています。今治市の和霊神社は、伊予国一の宮である大山祇神社の神官に和霊神社に参拝すると良いと言われた庄屋浮穴与右衛門包俊が、その通りにすると病気が全快したことから勧請されたとされています。当初は法界寺三島神社（大山祇神社の分社）の境内社でしたが、参拝者が増えたため独立したと伝えられています。

関連項目

和霊神社（高知市） - 高知県高知市にある神社。坂本龍馬の4代前の先祖が和霊神社から勧請したとされています。
丸之内和霊神社 - 公頼公の邸宅跡にある神社です。
明石虎雄 - 地元・宇和島出身の建築家。参籠所を設計、監督、施工しました。

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