伊達村候

伊達村候（だて むらとき）

伊達村候は、江戸時代中期に伊予国宇和島藩を治めた第5代藩主です。数々の別名を持ち、官位も有していました。彼の時代は、宇和島藩にとって変革の時代であり、特に農地制度の改革は特筆されます。

生涯

享保10年（1725年）に、第4代藩主・伊達村年の長男として生まれました。母は伊達吉村の娘であり、幼名は伊織と名付けられました。藩主となる前、彼は外祖父である仙台藩主・伊達吉村から偏諱を受け、「村候」と名乗りました。

寛延2年（1749年）には、仙台藩主となっていた伯父・伊達宗村との間に確執が生じます。宗村は、村候が本家を軽んじているとして老中に訴えましたが、村候は宇和島藩が仙台藩の「末家」ではなく「別家」であると主張し、自立の姿勢を鮮明にしました。具体的には、名の改名や仙台藩主と同等の称号を用いるなど、様々な行動を通じてその意思を示しました。最終的に、両家の調停が行われましたが、両者の間にはわだかまりが残りました。

藩政改革

村候は、藩政において大きな改革を行いました。享保の大飢饉で疲弊した藩財政を立て直すため、窮民の救済、倹約令の制定、家臣団の改革、軍制改革、風俗の刷新、文武と忠孝の奨励など、多岐にわたる政策を推進しました。宝暦4年（1754年）からは民政にも力を入れ、専売制を実施するなど、殖産興業にも取り組みました。寛延元年（1748年）には藩校を創設し、人材育成にも注力しました。これらの改革は一定の成果を上げ、藩財政の再建に貢献しました。

しかし、天明の大飢饉を契機に、藩財政は再び悪化し、藩政改革も停滞します。晩年には百姓一揆や村方騒動が頻発し、苦境に立たされました。寛政6年（1794年）に70歳で死去し、跡は四男の村寿が継ぎました。

文化人としての一面

村候は、教養人としても優れた人物であり、「楽山文集」、「白痴篇」、「伊達村候公歌集」などの著書を残しています。彼の藩政改革の手腕は、後世の文献でも高く評価されています。

系譜

父：伊達村年
母：富子（伊達吉村の三女）
正室：護姫（鍋島宗茂の娘）
子女：多数（男子は村寿、山口直清など、女子は井伊直尚婚約者、丹羽長貴正室など）

村候の血筋は、多くの家系に繋がっています。

まとめ

伊達村候は、宇和島藩の藩政改革に尽力した名君であると同時に、文化人としても優れた人物でした。仙台藩との関係に苦しみながらも、藩の自立性を追求し、領民のために尽力した彼の功績は、後世に語り継がれています。

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