哀愁のカサブランカ

哀愁のカサブランカ

「哀愁のカサブランカ」は、郷ひろみの43枚目のシングルであり、1982年7月17日に発売されました。この楽曲は、バーティ・ヒギンズの「Casablanca」を原曲に持ち、日本語の歌詞が付けられた曲です。

制作の経緯

1982年4月初め、ニッポン放送のパーソナリティ、はた金次郎はバーティ・ヒギンズのラフ・テスト盤を聴き、これが日本でヒットすることを確信しました。彼はラジオ番組『オールナイト・電リク』で日本語詞とアーティストの募集を行い、結果的に1,000通以上の応募が寄せられました。最優秀作詞賞には18歳の高校生、吉井伸子が選ばれました。

アーティストには郷ひろみが選ばれ、ニッポン放送内のラジオハウス銀河での収録が行われました。その後の放送では大きな反響を呼び、CBS・ソニーは山川啓介による日本語詞で市販することを決定しました。この曲は、オリコン洋楽シングルチャートにおいて1982年7月5日付から8週連続で1位を獲得し、年間チャートでは1位となりました。

音楽的特徴

「哀愁のカサブランカ」は、ストリングスオーケストラを使用した豊かなアレンジを特徴としており、リリースされたアルバムにもその魅力が引き継がれています。曲の冒頭には長い前奏があり、これが聴く人の心をしっかりと掴む要素とされています。また、郷のスタイルを象徴するオールバックの髪型で歌い上げており、そのビジュアルも多くのファンに印象を与えました。

発売後の影響

曲のヒット後、郷ひろみは『ザ・ベストテン』に出演しませんでした。彼は、自身が気に入っている楽曲を他者に順位付けされることに抵抗感を持ち、特にこの曲が話題となって以降、番組への出演を控えることを決めました。その数年後、1985年には松田聖子との熱愛が噂される中、神田正輝との結婚披露宴の日に薄幸の中継を行い、聖子に関連する歌詞が含まれるこの楽曲を披露しました。この際の歌詞は、聖子との関係性や未来について思わせる内容となっていました。

B面とアルバム

シングルのB面には「マイ・コレクション」が収録されており、こちらは郷のヒット曲のメドレーが編集されています。また、同名のアルバムも1982年9月22日に発売され、オリコンアルバムチャートで初登場2位を記録しました。アルバムの内容は主にヨーロピアン調のバラードが中心で、全体として郷の魅力を引き立てる作品となっています。

まとめ

「哀愁のカサブランカ」は、1982年の音楽シーンにおいて重要な位置を占める名曲であり、郷ひろみのキャリアにおいても特別な意味を持つ作品です。曲の持つ叙情性とその背景には、当時の音楽界やアーティスト同士の複雑な関係性が影響を与えていました。今もなお、多くの人に愛され続けている楽曲です。

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