哀愁のシンフォニー

1976年11月21日、国民的な人気を博したアイドルグループ、キャンディーズが通算12枚目となるシングル「哀愁のシンフォニー」をリリースしました。本作は、それまでの彼女たちのパブリックイメージであったキュートでポップなアイドルソングとは異なり、しっとりとしたアダルトな雰囲気を持つバラードとして、発表当時大きな話題となりました。

この楽曲は、グループ解散コンサートが行われた時点までに、CBS・ソニーの調べで累計35万枚というセールスを記録しています。その人気の高さは、キャンディーズの楽曲の中でも特に記憶に残る一曲として語り継がれていることからも伺えます。

楽曲の構成において、ボーカルは非常に多彩な表現を見せています。特徴的なサビの部分では3人のうち2人が歌う2声のハーモニーが用いられていますが、それ以外のパートではメンバーそれぞれのソロパートや、全員で歌うユニゾン、さらに複雑な3声のコーラスワークも取り入れられており、バラエティ豊かで聴きごたえのある歌唱が展開されています。

「哀愁のシンフォニー」は、1977年4月に発売されたアルバム『キャンディーズ1+1⁄2〜やさしい悪魔〜』に収録されています。ただし、このアルバムには「哀愁のシンフォニー」のみが収録されており、シングルのカップリング曲は含まれていません。

また、楽曲の世界観に合わせて、ステージでのパフォーマンスも変化が見られました。従来のフリルやミニスカートといった、活動初期からのトレードマークとも言える衣装から一転し、この楽曲を披露する際にはシンプルな白いワンピースドレスを着用しました。さらに、この曲のサビが始まると、客席から大量の紙テープが一斉に投げ込まれるという演出が定番となり、ライブ会場は一体感のある盛り上がりを見せました。

楽曲名の「哀愁のシンフォニー」については、プロデューサーであった若松宗雄氏が、ギタリストのサンタナの楽曲「哀愁のヨーロッパ」から引用して名付けたものだと語っています。

シングルのカップリングには、「別れても愛して」が収録されています。両楽曲とも、作詞はなかにし礼氏、作曲は三木たかし氏が手掛けました。「哀愁のシンフォニー」の編曲は馬飼野康二氏、「別れても愛して」の編曲は三木たかし氏がそれぞれ担当しています。

発表から長い年月を経た2008年9月3日には、アルバムボックスセット『キャンディーズ・タイムカプセル』がリリースされました。このボックスセットには、ボーナストラックとして「霧のわかれ」という楽曲が収録されています。これは「哀愁のシンフォニー」の制作過程における別バージョンであり、歌詞や楽曲の一部が異なる形で楽しむことができます。

また、「哀愁のシンフォニー」は他のアーティストによってカバーもされています。1979年には、クリスタル・スリーがLPアルバム『キャンディーズ・ディスコ・ヒート』の中でこの曲をカバーしました。このカバーバージョンでは、MITSU NANAMI氏による英訳詞で歌われています。

「哀愁のシンフォニー」は、キャンディーズの新たな一面を見せた楽曲として、その後の活動にも影響を与えた重要なシングルと言えるでしょう。秋をテーマにした楽曲としても知られており、様々なコンピレーションアルバムにも収録されています。

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