哀愁波止場

「哀愁波止場」は、1960年7月1日に日本コロムビアから発売された美空ひばりのシングルです。

楽曲の特徴

この曲の最大の特徴は、冒頭の高音の裏声です。作曲を担当した船村徹は、「これまでにないひばりの曲を作ろう」という意気込みで制作に臨み、ひばりの美しいファルセット（裏声）を活かすことを意識したそうです。しかし、この斬新な試みは、ひばりの母である加藤喜美枝には受け入れられず、「風邪をひいたような声で歌わせるなんて」と激怒したという逸話が残っています。母親の反対にもかかわらず、関係者の尽力により臨時発売されると、たちまち大ヒットとなりました。

受賞と紅白歌合戦

「哀愁波止場」は、その年の第2回日本レコード大賞で歌唱賞を受賞しました。また、同年の「第11回NHK紅白歌合戦」でも歌唱され、その歌唱の中では熊本県の民謡『五木の子守唄』の一部が使用されています。

売上とランキング

2019年時点での美空ひばりのシングル売上ランキングでは、歴代21位にランクインしています（日本コロムビア調べ）。このランキングは、この曲が長年にわたり多くの人に愛され続けている証と言えるでしょう。

収録曲

オリジナル盤 (1960年)

1. 哀愁波止場
作詞：石本美由起、作曲・編曲：船村徹
2. ひばりの船長さん
作詞：石本美由起、作曲・編曲：船村徹

1991年盤 (CDシングル)

1. 哀愁波止場
作詞：石本美由起、作曲・編曲：船村徹
2. ひばりのマドロスさん
作詞：石本美由起、作曲・編曲：上原げんと

カバー

「哀愁波止場」は、多くのアーティストによってカバーされています。以下はその一部です。

島津亜矢（2001年のアルバム『波動~亜矢・美空ひばりを唄う』に収録）
さだまさし（2008年のアルバム『情継 こころをつぐ』に収録）
* 五木ひろし（2011年のアルバム『永遠の道標 五木ひろし「美空ひばり」を歌う』に収録）

これらのカバーからも、この曲が世代を超えて愛され続けていることがわかります。「哀愁波止場」は、美空ひばりの数々の名曲の中でも、特に印象的な一曲と言えるでしょう。

もう一度検索