品木ダム

品木ダムについて

品木ダムは群馬県吾妻郡中之条町に建設された重力式コンクリートダムで、高さは43.5メートル。利根川水系の湯川に位置し、水質改善を主な目的としています。このダムは、日本の酸性河川の一つである吾妻川に対する中性化の施策の一環として設計されました。

地理的位置

湯川は、吾妻川の主要な支流であり、草津白根山を源とします。草津温泉を流れるその流域は美しい自然に囲まれていますが、かつて水質が非常に酸性でした。ダムが設置された位置では大沢川が湯川に合流し、険しい峡谷を形成します。最終的にこの流れは吾妻川となり、さらに利根川に合流します。

近年の水質問題

品木ダム建設以前の吾妻川は、「死の川」と呼ばれるほど極端に酸性でした。周囲の温泉地帯から流入する水が原因で、そのpHは1.8にも達することがありました。このため、魚類を含む生物は全く生息できない状態で、水の利用にも大きな制約がありました。

ここに着目した群馬県は、河川酸性化改善のために石灰を使用した中和事業を開始。これが、世界初の河川酸性水中和事業としても知られています。

中和事業の成功とその後

中和プロジェクトは1957年に始まり、品木ダムはその中心施設の一つとして位置づけられました。ダム湖である上州湯の湖では、中和のための化学反応が行われ、河水のpHが改善されます。1964年にはダムと中和施設が完成し、吾妻川の水質は飛躍的に改善されることに成功しました。この成果により、水生生物も戻ってきて、「死の川」の名は過去のものとなりました。

現在の課題

しかしながら、品木ダム建設以降、石灰を継続的に貯水するため、上州湯の湖では堆砂が進行しています。堆砂率は79.8%にも達し、専門家の間ではこの事が中和機能に悪影響を及ぼす懸念が出ています。1985年には専用の浚渫船が就航し、ダム湖の浚渫作業が進められています。

また、近年では吾妻川上流総合開発事業の一環として、草津中和工場の改築やダム通信施設の整備が進行中です。さらに新たに万座川にダムが建設される計画もあり、水質改善の取り組みは未だ続いています。

まとめ

品木ダムは日本における河川水質改善の先駆けとして、重要な役割を果たしてきました。酸性化の問題に取り組む中での最新の技術や施策が、地域の水環境を守るために今後も実施されていくことでしょう。

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