哲学者サッカー

『哲学者サッカー』に関する詳細

『哲学者サッカー』（英: The Philosophers' Football Match）は、イギリスのコメディグループとして著名なモンティ・パイソンによるスケッチコメディだ。この特異な作品は、1972年に放送された『空飛ぶモンティ・パイソン ドイツ版』の一部として初めて登場した。さらに、1982年には『モンティ・パイソン・ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』でも再利用されている。加えて、このスケッチは『ベスト・オブ・モンティ・パイソン』にも収録され、広く親しまれている。

概要と登場人物

このスケッチは、1972年に開催されたミュンヘンオリンピックの際に、ミュンヘン・オリンピアシュタディオンを舞台に、哲学者たちがサッカーの試合を繰り広げるというユニークな設定で行われる。主な出演者には、アルキメデス（ジョン・クリーズ）、ソクラテス（エリック・アイドル）、ヘーゲル（グレアム・チャップマン）、ニーチェ（マイケル・ペイリン）、マルクス（テリー・ジョーンズ）、カント（テリー・ギリアム）がいる。主審を務める孔子は、伝統的な砂時計で時間を測る姿が印象的だ。また、ラインズマンとして参戦するトマス・アクィナスと聖アウグスティヌスもスケッチの重要な要素だ。

ドイツ代表の監督はマルティン・ルターであり、試合開始早々から哲学者たちはサッカーよりも自らの思想に夢中になり、ピッチ上で輪を描くように歩き回る。特に「驚きの大抜擢」を受けたフランツ・ベッケンバウアーは、彼らの行動に困惑を隠せない。

スケッチの展開

試合は開始されるものの、選手たちは一向にボールに触れようとせず、哲学的な議論に没頭する。そんな中、ニーチェが主審の孔子に向かい「論語には自由意志が無い」と主張し、イエローカードを受ける場面が登場する。孔子はその返答として「名を書に残す」と反論する。試合が進行しないことから、テレビ放送は思わずレスリング中継に切り替えられる。

後半戦に入ると、カール・マルクスがルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの代わりに出場するが、結局ゲームの進行には寄与しない。不穏な雰囲気の中で試合終了まで1分を切った時、アルキメデスが「Eureka！（分かったぞ！）」と叫び、初めてボールを蹴り出す。この動きに連動して、他の哲学者たちも続き、唯一の得点を目指す。アルキメデスのクロスボールにソクラテスが飛び込み、見事なヘディングで得点を決める。

試合の終局では、ドイツ側の選手たちが判定に不満を表明する。ヘーゲルは現実の本質に関して長々と論じ、カントも自身の理論を持ち出す中で、マルクスがオフサイドを訴えるが、主審の孔子は耳を貸さない。しかし、スローモーションでの replay の結果、ソクラテスが実はオフサイドであったことが明らかになるという皮肉な展開が待っている。

2010年の再現戦

この名作スケッチから発想を得て、2010年にはロンドンで「哲学者サッカー」を記念する再現試合が開催された。現存するモンティ・パイソンのメンバーも協力し、ウィンゲート・アンド・フィンチリーFCの本拠地で実施された。このイベントは、子どもたちに論理的思考を促すことを目的としたザ・フィロソフィー・ショップの提案によるもので、様々なコメディアンや哲学者が参加し盛況をみた。

このように『哲学者サッカー』は、ただのコメディにとどまらず、哲学的対話とサッカーが交わる独自の世界観を持った作品として、多くの人々に愛され続けている。

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