唄い屋・BEST Vol.1

清木場俊介のキャリアにおいて、ソロ活動10周年という大きな節目を飾る作品としてリリースされた通算2作目のベストアルバムが『唄い屋・BEST Vol.1』です。2014年 3月5日に世に送り出された本作は、前作のベストアルバム『清木場俊介 SONGS 2005-2008』から約5年ぶり、またレーベル移籍後初となる重要なリリースとなりました。

このアルバムの最大の特色は、単なる既発曲のコンピレーションにとどまらない点にあります。清木場俊介がこれまでに発表してきた数多くの楽曲の中から選りすぐられた代表曲14曲が、すべて新たにレコーディングされ、アコースティック編成でのアレンジが施されているのです。これにより、馴染み深い楽曲たちが、温かみのある生楽器の響きや、よりパーソナルな歌声によって新たな息吹を吹き込まれ、オリジナルとはまた異なる表情を見せています。これは、10年という時を経て円熟味を増した「唄い屋」としての表現力を余すところなく伝える試みと言えるでしょう。

当初、収録曲は全13曲で構成される予定でしたが、制作過程で特別な一曲の追加が決定します。それが、EXILE時代の盟友であるEXILE ATSUSHIとのコラボレーション楽曲「羽1/2」でした。この楽曲は、清木場がEXILE時代に発表した楽曲のセルフカバーであり、実に8年ぶりとなる二人の共演は、アルバムのリリース発表時から大きな話題を呼びました。滑り込みで収録が決定したこの「羽1/2」は、アルバム発売に先駆け、2月26日にはデジタル先行配信も行われ、ファンの期待を一層高めました。長年の時を経て再び交わった二つの声が織りなすハーモニーは、多くのリスナーにとって感動的なサプライズとなりました。

また、収録曲の中には、清木場俊介の活動の原点に触れる重要な一曲も含まれています。それが「そのままで…。」です。この楽曲は、彼がデビュー前に路上で歌っていた頃に書かれたものであり、その後のキャリアを語る上で欠かせない、いわば彼のルーツを示す歌です。自身にとって初めての日本武道館ライブでも披露され、その映像は作品化もされていますが、スタジオ音源として正式に収録されたのは、この『唄い屋・BEST Vol.1』が初めてのことでした。特筆すべきは、本作に収録するにあたり、歌詞もメロディも路上ライブ当時のまま一切変更されていない点です。これは、清木場が自身の音楽的ルーツや、その頃の純粋な思いを大切にしている姿勢を象徴しており、ファンにとっては感慨深い一曲となりました。

その他にも、アルバムには清木場俊介の軌跡を彩る代表的な楽曲が多数収録されています。ソロデビュー曲「いつか…」や、ライブでの定番曲、温かいバラードから力強いロックチューンまで、バラエティ豊かながらもアコースティックアレンジによってアルバム全体に統一感が生まれています。

収録曲は以下の通りです。

ROLLING MY WAY（7thアルバム『FIGHTING MEN』収録）
Rockin' the Door（3rdアルバム『Rockin' the Door』表題曲）
なにもできない（1stシングル「いつか…」カップリング）
いつか…（1stシングル、ソロデビュー曲）
愛のかたち（9thシングル）
唄い人（1stアルバム『清木場俊介』収録）
again（16thシングル）
最後の夜（7thシングル）
あのさ〜（4thアルバム『FLYING JET』収録、本作ではボサノヴァ調にアレンジ）
Baby（2ndアルバム『IMAGE』収録）
今。（10thシングル）
忘れないで（2ndアルバム『IMAGE』収録）
そのままで…。（路上ライブ時代の楽曲、本作にてスタジオ初収録）
羽1/2（清木場俊介 & EXILE ATSUSHI、EXILE時代のセルフカバー、8年ぶりの共演）

アルバムは、CDのみの通常盤に加え、初回限定盤としてCDに特典DVDが付属する形態でもリリースされました。特典DVDには、「ROLLING MY WAY」「いつか…」「愛のかたち」「今。」「唄い人」「そのままで…。」といった収録曲のミュージックビデオが収められており、楽曲の持つ世界観を視覚的にも楽しむことができます。

さらに、『唄い屋・BEST Vol.1』のリリースから約9ヶ月後の2014年 12月10日には、本作のスピンオフ作品として、リミックスアルバム『唄い屋・REMIXES Vol.1』が配信限定でリリースされています。これもまた、清木場俊介の楽曲が多様な形で展開されていく姿勢を示すものと言えるでしょう。

ソロデビュー10周年という記念すべき年に発表された『唄い屋・BEST Vol.1』は、これまでの「唄い屋」としての歩みを振り返りつつ、全曲アコースティックアレンジという新たな表現方法で楽曲たちに光を当てることで、アーティストとしての進化と変わらぬ魂を同時に提示した、清木場俊介のキャリアにおける重要なマイルストーンとなる作品です。

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