FLYING JET

『FLYING JET』

清木場俊介の通算4枚目となるオリジナルアルバム『FLYING JET』は、2009年9月30日に発売された作品です。彼が所属レーベルを移籍してからのアルバムとしては、『Rockin' the Door』に続く2作目にあたります。前作からわずか3ヶ月弱という短期間でリリースされたことは、当時の清木場の精力的な制作活動を示しています。

アルバムには、先行シングルとしてリリースされた「JET」を含む、バラエティ豊かな全12曲が収録されています。初回限定盤には特典としてDVDが付属しており、「JET」のミュージックビデオに加え、アルバム制作やツアーの裏側を垣間見ることができるドキュメント映像「FLYING JET 〜Real Story〜」が収められています。

リリース後のチャート成績も注目に値します。発売日である9月30日付のオリコンアルバムデイリーチャートでは初登場7位を記録し、その勢いを示しました。続く10月12日付のオリコン週間アルバムランキングでは12位を獲得しています。

本作の発売に先行して、大規模な全国ツアー『清木場俊介 FLYING JET TOUR 2009〜2010』が2009年9月11日にスタートしました。このツアーはアルバムタイトルを冠しており、その内容はまさに本作の世界観を体現するものだったと言えるでしょう。ツアーは年を跨いで行われ、2010年1月31日の日本武道館公演で感動的なファイナルを迎えました。アルバムとツアーが連動したプロジェクトとして展開された点も、本作の大きな特徴と言えるでしょう。

本作に収録された楽曲は以下の12曲です。

俺だけのハイウェイ
祭りの後
愛NEED YOUR LOVE
ここに居る事を…
9:36 〜キミと居た夏〜
JET
あのさ〜
Lusia
見果てぬ夢
ハイドロップス アンド ハイタイムス
Hey Baby
生きる証

収録曲の中でも、「愛NEED YOUR LOVE」はそのユニークなタイトルが印象的です。「I need your love」と日本語の「愛」を掛け合わせた言葉遊びが含まれており、後のツアーやクリスマスライブ「WHITE ROCK」でも定番曲として披露され、ファンに長く愛されている楽曲です。

また、「ここに居る事を…」と「9:36 〜キミと居た夏〜」といったバラード曲は、その後のレンタル限定ミニアルバム『BALLAD SELECTION』や、改めて選曲されたバラードセレクションアルバム『LOVE SONGS 〜BALLAD SELECTION〜』にも再録されており、清木場俊介のバラードの代表曲として位置づけられています。

先行シングルとなった「JET」は、アルバムタイトルにも採用された本作の核となる楽曲です。スピード感あふれるサウンドが特徴で、ミュージックビデオも制作されました。

「あのさ〜」は、その後にリリースされたベスト・アルバム『唄い屋・BEST Vol.1』（2014年）において、原曲とは異なるボサノヴァ調のアレンジで新たにレコーディングされたバージョンが収録されており、楽曲の多様な可能性を示す例となりました。

「Lusia」は、イタリアのヴェネト州にあるコムーネ（基礎自治体）「ルージア」にインスパイアされた楽曲です。歌詞は、その美しい土地を舞台にした二人の切ない恋物語を描いています。

そして、「生きる証」は、テレビ朝日系の番組「ビートたけしのTVタックル」のエンディングテーマ曲として起用された楽曲です。この曲は、清木場俊介の楽曲群の中でも「今。」「エール」と共に「生き様三部作」と称される重要な位置を占める作品であり、彼の音楽的なテーマの一つを表現しています。また、この曲にはミュージックビデオが存在し、日本武道館でのライブを収録したDVD『日本武道館 -2010年1月31日 FLYING JET TOUR 2009〜2010 TOUR FINAL-』には、特典映像としてこのPVが収録されています。

『FLYING JET』は、前作からの勢いをそのままに、ロックからバラードまで幅広い音楽性を盛り込み、かつタイアップや代表曲候補となる楽曲を複数含む、清木場俊介の当時の充実した創作活動を象徴するアルバムと言えるでしょう。発売前からのツアー展開と連動したプロモーションも含め、その後の活動への弾みとなった重要な作品です。

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