唐景崧

唐景崧について

唐景崧（とう けいすう、1841年 - 1903年）は、清の末期である19世紀の著名な官僚であり、台湾民主国の初代総統を務めた人物です。彼は広西省桂林府の灌陽県に生まれ、父親は唐懋功という役人でした。また、兄弟には唐景崇と唐景崶が、子供たちには唐運溥、唐運涵、唐運深、唐運沢などがいます。

同治4年（1865年）、唐景崧は科挙に合格し、官僚としてのキャリアを開始しました。彼は特に光緒8年（1882年）には、ベトナムでフランス軍との戦闘で勝利を収めたことで名を馳せました。この時、唐は劉永福の黒旗軍を指揮し、ハノイに進軍してフランス軍を大いに打ち破りました。この戦功により、光緒9年（1883年）には四品官に昇進し、光緒10年（1884年）の清仏戦争においても軍功を挙げたため、二品に昇進しました。

その後、光緒17年（1891年）には台湾布政使に任命され、光緒20年（1894年）には台湾巡撫に就任しました。しかし、彼の政治生活には厳しい試練が待ち受けていました。光緒21年（1895年）4月17日、下関条約が締結されると台湾が日本に割譲されることが決定します。これに強く反対した唐景崧は、台湾内部での反対運動を推進し、5月23日に「台湾民主国自主宣言」を発表しました。

この自主宣言をもとに、唐は同年5月25日に台湾民主国を設立し、その初代総統に就任します。しかし、政府内の意見が一致せず、国会議長の林維源が逃亡するなど混乱が続きました。6月2日、権限の委譲が行われると状況はさらに悪化し、基隆が日本軍に占拠されたことで唐景崧は危機的な状況に陥りました。彼は、老婆に扮して公金を携帯し、淡水区の滬尾に逃亡しました。その後、ドイツの商船アーター号に乗り込み、淡水の混乱を経て厦門に逃げることに成功しました。

唐景崧は光緒29年（1903年）に広西で亡くなります。彼の後任となった劉永福も総統の地位を引き継ぎましたが、台湾に対する日本軍の侵攻に抗しきれず、本国に帰還しました。この結果、台湾は日本の支配下に置かれました（乙未戦争）。余談ですが、唐景崧の孫娘である唐篔は、歴史学者陳寅恪の妻であり、三女の母でもあります。彼の歴史的な活動は、台湾と中国の歴史において重要な意義を持っています。

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