唐桶溜

唐桶溜（かろけのため）

栃木県芳賀郡芳賀町東水沼に位置する唐桶溜は、その歴史と美しい景観で知られるため池です。2010年には農林水産省の「ため池百選」にも選定され、地域を代表する貴重な水資源、観光資源となっています。

歴史

唐桶溜の歴史は江戸時代に遡ります。1701年（元禄14年）、地元の名主であった岡田宗山が、この地の丘陵地帯に目を付け、上流部の沢を堰堤でせき止めるという大規模な溜池の築造に着手しました。当初、6ヘクタールの広さを持つ唐桶溜でしたが、上流からの自然な流量だけでは満水にならず、宗山は大胆な計画を実行します。なんと、12キロメートルも離れた鬼怒川から、4キロメートルもの隧道（トンネル）を掘削し、用水を導水するという難工事に挑んだのです。この壮大な事業は5年の歳月をかけて1706年（宝永3年）に完成し、現在も48ヘクタールもの農地を灌漑しています。岡田宗山の偉業は、地域の人々に深く感謝され、語り継がれています。

自然環境

唐桶溜は、豊かな自然環境にも恵まれています。淡水魚の釣りのスポットとしても人気があり、ブラックバスやヘラブナなどが生息しています。周辺には、シダレザクラやソメイヨシノが植えられ、「唐桶宗山公園」として整備されており、春には美しい桜が咲き誇ります。また、ハクチョウをはじめとする多様な鳥類や、様々な水生動物が生息しており、自然観察にも最適な場所です。地元ボランティア団体「唐桶溜の環境を守る会」が中心となり、定期的な清掃活動や水質調査など、自然保護活動が熱心に行われています。

アクセス

唐桶溜へのアクセスは、以下の通りです。

道路:
国道408号
栃木県道69号宇都宮茂木線
栃木県道154号下高根沢氷室線

公共交通:
JR東日本 宇都宮駅下車
ジェイアールバス関東の路線バスで「清原台4丁目」下車、東へ約450m、徒歩約5分
2023年8月開業予定の宇都宮ライトレール線ではグリーンスタジアム前停留場より東へ約2km、徒歩約30分

周辺情報

唐桶溜の周辺には、芳賀町歴史民俗資料館や芳賀町立図書館などの文化施設もあります。また、道の駅はがでは、地元の特産品を購入することができます。

まとめ

唐桶溜は、江戸時代の偉人・岡田宗山の功績を今に伝える、歴史的にも貴重なため池です。豊かな自然と美しい景観は訪れる人々を魅了し、地域住民の憩いの場として親しまれています。釣りや自然観察、桜の鑑賞など、様々な楽しみ方ができる唐桶溜に、ぜひ一度足を運んでみてください。

参考文献

マンガふるさとの偉人「いのちをつなぐ唐桶のため 岡田宗山物語」 栃木県芳賀町教育委員会
ため池百選 - 農林水産省
* 芳賀町公式ホームページ

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