唐橋姪子

唐橋姪子（からはし めいこ）は、寛政8年（1796年）に生まれ、明治14年（1881年）に没した、江戸時代末期の女性です。彼女は、公家である九条尚忠（くじょう ひさただ）の妾となり、後に正室となりました。

姪子は、北野天満宮の社僧である松梅院禅泰（しょうばいいん ぜんたい）の長女として誕生しました。母は文子（ふみこ）といい、その兄である唐橋在煕（からはし ありひろ）の養女となります。養母は萩原静子（はぎわら しずこ）の大叔母にあたる吉田高子（よしだ たかこ）でした。

2歳年下の九条尚忠の妾となった後、正室に迎えられました。尚忠が関白に就任してからは、姪子は「北政所（きたのまんどころ）」と呼ばれるようになります。北政所とは、関白の正室の敬称です。

幕末の動乱期、朝廷では公武合体政策が進められ、孝明天皇の妹である和宮（かずのみや）が、将軍徳川家茂（とくがわいえもち）に降嫁することになります。九条尚忠はこの降嫁に賛成していたため、姪子も複雑な立場に置かれ、つらい状況にあったと推察されます。

明治4年（1871年）に尚忠が死去した後、姪子は出家し、「寿香院（じゅこういん）」と名乗りました。そして、明治14年（1881年）に生涯を閉じました。彼女の墓所は、京都市東山区にある東福寺（とうふくじ）にあります。

唐橋姪子は、激動の時代を生きた女性であり、公家の妻として、時代の波に翻弄されながらも、その生涯を全うしました。彼女の人生は、幕末から明治にかけての社会情勢を映し出す鏡とも言えるでしょう。

参考文献

* 霞会館『平成新修旧華族家系大成』 上巻、吉川弘文館、1996年。

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