唐英年

唐英年（とう えいねん、Henry Tang）は、1952年9月6日に香港で生まれた政治家です。彼は、かつて香港政府のナンバー2である政務司司長（政務長官）を務めました。政治家としてのキャリアの初期には自由党に所属していましたが、2005年以降は特定の政党には所属していません。唐英年の本籍は中国江蘇省無錫です。

彼は2012年の香港行政長官選挙に立候補し、有力候補と目されていました。しかし、選挙戦中に、彼の自宅に約200平方メートルの無許可の地下室が建設されていたことが発覚し、大きなスキャンダルとなりました。この違法建築は有権者やメディアから厳しく批判され、彼の選挙戦は大きく失速しました。結果として、2012年3月25日の選挙では梁振英に敗れ、行政長官の座を逃しました。

唐英年の経歴は多岐にわたります。1971年にミシガン大学を卒業後、1976年にはイェール大学で修士号を取得して帰国し、父親が経営する紡績会社に入社しました。その後、実業界で実績を積み、1989年には香港青年工業家賞を受賞しました。1991年から1997年までは立法局議員を務め、1995年から2001年までは香港工業総会の会長を務めました。政治の世界では、1997年から1998年にかけて臨時立法会議員を務め、1997年以降は行政会議の非官職メンバーを務めています。2000年には金紫荊星章を受勲しています。

行政職としては、2002年から2003年にかけて工商業・科学技術局長（工商及科技局局長）を務め、2003年から2007年までは財政長官を務めました。2005年には、当時の行政長官代行であった曽蔭権の辞任に伴い、一時的に行政長官代行を務めたこともあります。2007年から2011年には政務司司長（政務長官）を務め、香港政府の要職を歴任しました。2009年には大紫荊勲章を受勲しています。

唐英年の政治家としてのキャリアは、実業界での経験と香港政府での要職歴に彩られています。しかし、2012年の行政長官選挙での敗北は、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。特に、自宅の地下室問題は、彼の政治家としての信頼を大きく損なう結果となりました。この事件は、香港の政治における倫理観と透明性の重要性を改めて浮き彫りにしました。

唐英年の例は、政治家が公の職務を遂行する上で、高い倫理観と法令遵守が求められることを示唆しています。また、彼の経歴は、香港の政治と経済のダイナミズムを理解する上で重要なケーススタディと言えるでしょう。

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