唐蘭

唐蘭（とう らん）の生涯と業績

唐蘭は1901年に浙江省嘉興府秀水県で生を受け、1979年にその生涯を閉じました。彼は中国の古文字学者および歴史学者として名を馳せ、文字とその歴史に関する研究において重要な役割を果たしました。

最初、商業学校に通った唐蘭ですが、後に漢方医学を学び、開業医としてのキャリアをスタートさせました。しかし、彼の関心は古文字の研究へと移り、1920年には無錫国学専修館に入学し、1923年に卒業しました。その後、天津で家庭教師や雑誌の編集に従事しながら、古文字学の研究を続けました。

1931年には東北大学で講師としての職を得ましたが、満洲事変の影響で北京へ移りました。燕京大学や北京大学でも教鞭を執り、1936年には国立北平故宮博物院の専門委員にも就任しました。彼は日中戦争の最中、西南連合大学で副教授を務め、翌年には教授に昇進しました。他の多くの研究者と同様に、戦後の北京大学でも教授として活動を再開し、1952年には故宮博物院に移り、後に副院長としての職責を担いました。

彼の研究業績の中でも特筆すべきは、1966年に越王勾践剣に刻まれた勾践の名を初めて指摘したことです。また、文化大革命の影響で批判を受け、労働改造に従事する時期もありましたが、1970年代に馬王堆漢墓が発見されると、その整理調査と関連研究に関わることになります。加えて、侯馬盟書や大汶口文化の陶器に記された記号についての研究も行いました。

唐蘭の主な著作には、『殷墟文字記』や『古文字学導論』、そして『中国文字学』があり、これらは彼の言語学における理論や方法論を示す重要な文献として評価されています。特に『古文字学導論』では、文字の研究には客観的手法を用いるべきであるとし、字源に対する主観的な憶測を排除することを主張しました。また、漢字の構造に関しても伝統的な六書に代わる三書（象形、象意、形声）の使用を提唱しました。彼の研究は文字学の発展に寄与し、現代においてもその影響が見られます。

亡くなる直前の1979年、唐蘭は脳梗塞によってこの世を去りましたが、彼の業績は現在も広く知られており、古文字学の先駆者として位置づけられています。彼の研究は文字学の礎を築くものであり、今日も多くの研究者によって引き継がれています。

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