燕京大学

燕京大学は、20世紀前半の中華人民共和国に存在した私立大学です。その歴史は、1919年にアメリカとイギリスの教会によって設立された3つの学校が合併したことに始まります。これらの学校は、それぞれ異なる歴史と特徴を持っていました。

匯文大学: 1870年にアメリカメソジスト監督教会によって設立された学校で、当初は「崇内懐理書院」と呼ばれていました。
華北協和女子大学: 1864年に開校した女子大学です。
通州協和大学: 1867年に開校し、当初は「公理会潞河書院」と呼ばれていました。

これらの3校が合併し、1919年に燕京大学が誕生しました。初代校長には、当時南京の金陵神学院で司教を務めていたジョン・スチュワートが就任しました。スチュワートは、アメリカでタイム社を経営していたヘンリー・ルースやアルコアからの寄付金を集め、北京郊外の皇族庭園を買収し、広大なキャンパスを建設しました。1926年には新キャンパスへの移転を完了し、神学部、法学部、医学部、文学部、理学部など、多様な学部が設置されました。

1928年には、チャールズ・マーティン・ホールらの出資を受け、姉妹校であるハーバード大学との共同でハーバード燕京研究所が設立されました。アメリカ資本の流入により、燕京大学はアメリカ大使館と同様の扱いを受け、日中戦争下でも日本軍の立ち入りを免れました。しかし、1941年に太平洋戦争が勃発し、日本とアメリカが敵対関係になると、日本軍は大学に侵攻し、閉鎖されることになりました。その後、1942年に四川省成都市に臨時学校を設立し授業を再開しましたが、1945年の日本の敗戦によって、北平（現在の北京市）に復帰を果たしました。翌年には成都の臨時学校から教員と学生が復帰し、工学部も設置されました。

1951年、中華人民共和国成立後に国立大学となりましたが、翌1952年には大学教育機関の再編により、大部分が北京大学に、工科は清華大学に、社会科学類は中国人民大学にそれぞれ統合され、燕京大学としての歴史を終えました。校舎は北京大学に移管されました。

燕京大学の歴代校長は以下の通りです。

ジョン・レイトン・スチュアート：1920年 - 1945年

また、著名な卒業生として、社会学者・人類学者の費孝通が挙げられます。

燕京大学は、その短い歴史の中で、中国の近代化と教育の発展に大きな役割を果たしました。また、ハーバード大学との協力関係は、今日の国際的な学術交流の先駆けとなりました。その精神は、形を変えながらも、現在も中国の教育と研究に影響を与え続けています。

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