商業会議所

商業会議所とは

商業会議所は、商工業者の意思を表明し、その利益を擁護することを目的として、一定の所得税を納める商工業者を対象に、市域を単位として組織された資本家団体です。この組織は、単なる任意団体ではなく、公法人としての性格を強く持っていました。

設立と変遷

1890年9月12日に公布された商業会議所条例に基づき、従来の商法会議所や商工会を改組する形で設立されました。この条例によって、法人格が付与され、フランスやドイツのような公法人としての色彩を強めました。役員は、会員の中から選挙で選出され、30歳以上の男子および商事会社の代表が対象となりました。同年12月9日に神戸商業会議所が最初に認可され、翌年3月までに多くの地域で商業会議所への移行が完了しました。

活動内容

商業会議所は、商工業に関する様々な活動を行いました。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

情報収集: 商工業に関する調査や統計を行い、情報を収集しました。
政策提言: 商工業に関する制度や法令について、資本家の立場から意見や建議を提言しました。
紛争解決: 商工業に関する紛争の調停や仲裁を行いました。
振興活動: 工業や貿易の振興、交通や運輸の改善など、商工業の発展を目的とした活動を積極的に行いました。特に、営業税廃止運動においては積極的に発言しました。

強制加入制度の導入と拡大

1902年3月25日に公布された商業会議所法によって、商業会議所に会費の強制徴収権が認められました。ただし、この強制徴収権は一時的に廃止された時期もありました。また、加入基準も変更され、営業税、鉱業税、取引所税を納める商工業者が対象となり、該当者は強制的に加入が義務付けられました。役員の選出についても、法人代表の被選挙権が個人にも認められるようになり、営業税、鉱業税、取引所税の納付が有権者要件となりました。ただし、具体的な金額については、農商務省の省令によって各会議所に一任されました。

組織の拡大

発足当初は15ヶ所しかなかった商業会議所は、次第に拡大していきました。1895年には41ヶ所、1910年には60ヶ所、1926年には76ヶ所となり、日本領となった朝鮮半島などにも設立されました。

商工会議所への再編

1927年4月に商工会議所法が公布され、翌年1月に施行されたことで、商業会議所は商工会議所へと再編されました。

商業会議所は、日本の商工業の発展に大きく貢献した組織であり、その活動は後の商工会議所へと引き継がれています。

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