商業史

商業史：商業と流通の歴史的変遷を辿る

商業史は、商学、商業学、流通論に関する学説史を研究する学問分野です。経済史や経営史の中でも、特に商業や流通に焦点を当て、その歴史的発展を研究対象としています。日本商業学会は、1951年に設立され、商業史研究の学術的な基盤となっています。

日本における商業史研究

日本の商業史研究は、江戸時代初期から現代に至るまでの経済発展を、商業・流通という視点から考察します。特に、近代における流通革命と呼ばれる商業活動の変革に着目します。

近世商業の展開

近世商業は、前期と中期・後期に分けられます。

近世前期: 幕藩制と商業の関係、全国市場と藩領域市場の成立、問屋制の成立、商業政策などが研究対象となります。
近世中期・後期: 商品生産の進展と全国市場、宝暦年間の流通機構と株仲間政策、専売制の展開と中央市場、株仲間の停止令と再興令、開港と商品流通の変化などが考察されます。

江戸時代の商業については、商品取引の経路や商業慣行、商人経営と商業組織、信用制度などが研究され、商業活動の具体的な内容や、商業の発達に伴う様々なタイプの商人の出現、取引技術の合理化などが明らかにされています。

近代商業の社会経済環境

近代商業経営の成立、貿易と国内商業、人間生活と商業・流通の関係などが研究されます。暮らしの中の流通（分業・交換・流通）、交易圏の広がりと経済などが考察されます。

近代商業の展開

明治時代・大正時代の商業、殖産興業政策、近代商業経営の成立などが研究されます。1900年以降の商業・流通、2000年初頭の商業環境なども検証されます。

戦後の商業・流通

アジア・太平洋戦争後の商業・流通、大量生産体制の確立と販路整備、生産と商業の相克、過剰生産の潜在的圧力、メーカー主導型流通の崩壊などが研究されます。

平成時代の商業

日本的経営の光と影、SCMやSPAなどの新しい流通・商業の形態などが考察されます。

世界規模で考える商業史

世界の商業史は、古代オリエントと地中海世界、ギリシアとローマ、中世の地中海商業の復興、商業革命、シャンパーニュとフランドル、バルト海商業、レヴァント貿易、16世紀の商業革命、オランダの17世紀、世界貿易の中のアジアと日本、イギリス商業の発展、産業革命と商業、植民地貿易、大衆消費社会の誕生など、多岐にわたるテーマを扱います。

17世紀: 世界市場の形成
18世紀: 産業革命
19世紀: 世界市場の拡大と深化
20世紀: 国際市場の完成
21世紀: 国際化とグローバル化、情報化

著名な研究者

多くの研究者が商業史の研究に貢献しています。以下はその一部です。

竹内幸雄（日本大学）
斯波照雄（中央大学）
飯田巳貴（専修大学）
山本通（神奈川大学）
廣田誠（大阪大学）
田中豊喜（明治大学）
宮本又郎（関西学院大学）
椿本晃久（徳島文理大学短期大学部）
藤田裕邦（福岡大学）
本村希代（福岡大学）
武野要子（兵庫大学名誉教授）



商業史は、過去の商業活動を理解することで、現代の経済や社会の構造をより深く理解するための重要な学問分野です。

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