問題のない私たち

問題のない私たち

『問題のない私たち』は、牛田麻希による日本のライトノベル作品。イラストは木村文が担当し、コバルト文庫より2001年12月に刊行されました。いじめというセンシティブなテーマを扱いながらも、少女たちの繊細な心理描写とドラマチックな展開で、多くの読者の心を掴みました。また、小説だけでなく、コミカライズ、映画、舞台など、様々なメディア展開がなされたことも特徴です。

あらすじ

物語は、いじめが横行する女子高を舞台に展開されます。主人公の笹岡澪は、クラスを牛耳るいじめの主犯格。しかし、転校生の出現によって、彼女の立場は一変します。

第1部

笹岡澪は、潮崎マリアへのいじめを主導していました。ある日、新谷麻綺という転校生が現れ、澪は彼女をいじめのターゲットにします。しかし、麻綺は澪を逆手に取り、クラスメイトを巻き込んで澪をいじめ始めます。父親に頼ろうとするも、再婚の準備で取り合ってもらえず、絶望する澪。そんな彼女に手を差し伸べたのは、かつて澪がいじめていたマリアでした。

第2部

澪の父親が再婚し、新婚旅行へ。その間、澪は担任教師の万引きを目撃します。翌日、教師は体調不良で休み、さらに翌日、教師は澪が自習で出した問題を丸写ししたとして問い詰めます。澪は否定しますが、教師は澪の家庭環境を持ち出し、澪は反発。教師の万引きを暴露してしまいます。その結果、澪は「キレる生徒」というレッテルを貼られ、停学処分となります。停学後、学校に戻ると、教師がクラスを牛耳っており、澪は屈してしまいます。しかし、納得のいかない澪は反撃を開始し、教師は辞職。しかし、澪は教師の気持ちを理解し、違和感を覚えます。

第3部

新たな新入生、山下翠が入学してきます。翠は先輩から目をつけられますが、澪と麻綺に助けられます。しかし、翠は2人を「偽善者」と突き放します。その後、澪と翠は打ち解けますが、翠はリストカットをしてしまいます。澪は翠を避け始めますが、翠がリストカットをする原因は、中学受験のプレッシャーでした。澪は翠を救うことを決意し、「1人じゃない」と励まし、翠は更生の道を歩みます。

登場人物

笹岡 澪（ささおか みお）: 本作の主人公。いじめの主犯格だったが、転校生によって立場が逆転する。気が強く、友達思いな一面も持つ。
新谷 麻綺（しんたに まき）: 転校生。澪をいじめ返すほどの気の強さを持つ。他人を出し抜いてまでいじめる。
潮崎 マリア（しおざき まりあ）: 澪にいじめられていた少女。澪が立場を失った後、彼女に手を差し伸べる。優等生。
施川 ミズキ（せがわ みずき）: 澪の親友。
松野 アヤ（まつの あや）: 澪のクラスメイト。
笹岡 桃花（ささおか ももか）: 澪の父親の再婚相手。
加藤（かとう）: 澪達の担任教師。万引きを澪に目撃され、澪に停学処分を下すが、最終的に澪に助けられる。
山下 翠（やました みどり）: 新入生。過去のトラウマから、他人を拒絶する。リストカットをしている。

メディア展開

コミカライズ: 『別冊マーガレット』にて木村文によるコミカライズが連載。
映画: 2004年に森岡利行監督、黒川芽以主演で映画化。
* 舞台: ストレイドッグにより舞台化。度々再演されている。


『問題のない私たち』は、いじめという重いテーマを扱いながらも、登場人物たちの心の葛藤や成長を通して、希望を見出す物語です。小説、漫画、映画、舞台と、様々な形で展開された本作は、多くの人々に感動と共感を与え続けています。

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