善名称院

善名称院（ぜんみょうしょういん）の概要

和歌山県伊都郡九度山町に位置する善名称院は、高野山真言宗に属する寺院であり、山号は伽羅陀山と称されています。この寺院の本尊は延命子安地蔵菩薩であり、真田昌幸とその子・信繁の蟄居時代に関連していると伝えられています。また、この地域は和歌山県の史跡としても指定されており、別名として真田庵とも知られています。さらに、善名称院は牡丹の名所としても有名で、美しい城郭風の本堂が特徴的です。

歴史

善名称院の起源は、寛保元年（1741年）8月18日に遡ります。この日、大安上人が真田昌幸の庵跡に地蔵菩薩を安置したことが、寺院の創建につながりました。言い伝えによると、大安上人は昌幸がかつてこの地に寺を建てるよう望んでいたため、かつて昌幸の供養塔の周囲にあった松の木だけを残して森林を伐採し、寺院を設立したとされています。

真田昌幸と信繁は、関ヶ原の戦いにおいて西軍に属し敗北した結果、高野山へと流されました。しかし彼らは生活環境が厳しいことなどから、九度山へ移り住むこととなり、蟄居生活を送りました。この地域には彼らの庵があったと伝わっていますが、庵の存在についてはさまざまな説が存在します。

善名称院が創建された後、昌幸の霊が度々現れるようになり、大安上人はその霊を真田地主大権現として祀ることにしました。その結果、穏やかな表情をした昌幸が現れ、寺を守ると約束したとされています。このようにして善名称院は、真田家に由来のある信仰の場として栄えていきました。

後代にわたって真田親子にまつわる講談が人気となり、多くの観光客が訪れるようになりました。そのため、善名称院は「真田庵」という愛称で呼ばれ、関連する資料館なども設置されることとなりました。2016年にはNHK大河ドラマ『真田丸』の公開に合わせて、近隣に九度山・真田ミュージアムがオープンしました。

敷地内の見どころ

善名称院の本堂は和歌山県指定の有形文化財に指定されており、八棟造という独特な建築様式を持っています。他にも、位牌堂や庫裏、北門、雷封じの井、稲荷大明神、金比羅大権現社、天満宮、住吉社、大安上人御廟、土砂堂など、多くの文化財が点在しています。特に、雷封じの井は、真田信繁が雷を井戸に封じ込めたという伝説があり、訪れる人々に興味を持たれています。

また、善名称院には真田昌幸と信繁の九度山生活をテーマにした「真田宝物資料館」が併設されており、彼らが使用していた槍先や鎧兜、さらには生活を支えた用具などが展示されています。入場料は大人200円で、開館時間は8時から17時までとなっています。

行事と地域の伝説

毎月24日には地蔵講、節分の頃には開運除厄星祭、5月5日には真田祭、8月10日には施餓鬼会が行われ、大安上人に感謝を示す祭りも定期的に開催されています。

善名称院の東約200メートルには「真田の抜け穴」と呼ばれる穴があり、地元の人々に親しまれています。この穴は古墳時代に造られたもので、真田家とは関係がないことが発掘調査で明らかになっていますが、地域の歴史の魅力を深めています。

アクセス

アクセスは、南海高野線の九度山駅から徒歩約10分で到着することができます。自然に囲まれたこの寺院は、歴史と文化を感じられる貴重な場所となっています。

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