善國寺

善國寺（ぜんこくじ）

善國寺は、東京都新宿区神楽坂に位置する日蓮宗の寺院で、通称「神楽坂毘沙門天」として地元の人々に親しまれています。この寺院は、徳川家康によって開基され、日惺上人が開山したとされています。善國寺の由緒は、安土桃山時代の文禄4年（1595年）に遡ります。池上本門寺の第12代貫主である日惺上人が馬喰町に創建しましたが、火災にたびたび見舞われ、最終的に寛政5年（1793年）に現在の地点に移転しました。

歴史と信仰

善國寺の本尊である毘沙門天は、江戸時代から「神楽坂の毘沙門さま」として知られ、多くの信者に崇拝されています。寺院は、芝正伝寺や浅草正法寺と共に「江戸三毘沙門」と称され、現在は新宿山ノ手七福神の一つとして重要な位置を占めています。善國寺は、池上法類神楽坂法縁の縁頭寺でもあります。これらの伝統と信仰は、地域の年中行事やお祭りにも深く根付いています。

文化財と見どころ

善國寺にはいくつかの重要な文化財が存在します。特に「毘沙門天像」は、新宿区指定の有形文化財として知られ、像高30cmの木製の像です。この像は、日惺上人が池上本門寺に入山する際、関白二条昭実から贈られたと伝わっていますが、通常は御簾がかけられているため、直接見ることはできません。御開帳は、毘沙門天が寅年、寅の月、寅の日に初めて姿を現したという伝説に基づき、毎年1月、5月、9月の寅の日に行われます。

また、本堂の左右には「石虎」という名で知られる狛虎像があり、神社の狛犬のように配されているのも特徴的です。江戸時代後期の作とされるこの狛虎は、右側の阿形が良好な状態を保っているものの、左側の吽形には東京大空襲による損傷や修復の跡が見られます。虎のデザインは類人猿に似た肉付きの良いスタイルで、台座部には虎のレリーフが施されています。

境内には出世稲荷社もあり、訪れる人々は多彩な信仰の場を楽しむことができます。また、明治20年（1887年）以降、東京で縁日に露店が出始めたのは、善國寺の境内がその発祥地とされていることも興味深い点です。

アクセス

善國寺へのアクセスは非常に便利です。地下鉄大江戸線の牛込神楽坂駅A3出口から徒歩3分、地下鉄各線の飯田橋駅B3出口から徒歩4分、JR東日本の飯田橋駅西口から徒歩5分、地下鉄東西線の神楽坂駅1a出口から徒歩6分です。周辺には他にも多くの魅力的なスポットがあり、観光客にもおすすめです。

善國寺は、歴史や文化を惜しみなく感じられる場所であり、訪れることで東京の多様な伝統に触れることができる貴重な寺院です。

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