善導寺 (上越市寺町)

善導寺（ぜんどうじ）

善導寺は、新潟県上越市の高田区に位置する浄土宗の寺院です。この寺院がある上越市内には、北東に約20キロメートル離れた柿崎区にも同名の浄土宗寺院が存在するため、所在地を示す区名で区別されることがあります。

歴史

この寺院の創建は室町時代の1475年（文明7年）に遡り、蓮開（れんかい）上人によって開山されたと伝えられています。創建当初は、現在の直江津にあたる地域に位置し、「光明寺（こうみょうじ）」という名称でした。

寺の名称が「善導寺」へと改められた背景には、霊験あらたかな出来事があったとされています。ある時、海中から浄土宗において極めて重要な位置を占める「浄土五祖」の一人、善導大師（ぜんどうだいし）の尊像が出現したのです。この尊像の出現を契機として、寺院の名前が善導大師にちなんで「善導寺」と改称されました。この海中から現れたと伝わる善導大師像は、現在、国の重要文化財に指定されており、寺院の至宝として大切に安置されています。

江戸時代初頭の1614年（慶長19年）、越後高田藩の藩主となった松平忠輝公は、新たな拠点として高田城の築城に着手しました。これに伴う城下町の整備計画の一環として、各地に分散していた寺院を一箇所に集約し、「寺町」を形成することが行われました。善導寺もこの時、寺町の形成に合わせて現在地である高田へと移転しました。この移転により、善導寺は高田の城下町における重要な寺院の一つとしての役割を担うことになったのです。

著名な関係者

善導寺にゆかりのある人物として、青柳貫孝（あおやぎ かんこう）師が知られています。師は、日本の茶道流派である「壺月遠州流（こげつえんしゅうりゅう）」の二世家元を務められた高名な茶人であると同時に、善導寺で修行を積んだ浄土宗の僧侶でもありました。仏道と茶道の両面に深い造詣を持たれた人物として、その功績が称えられています。

交通アクセス

善導寺へお参りするには、JR高田駅からのアクセスが便利です。駅から徒歩で約9分ほどの距離に位置しており、比較的容易に訪れることができます。

参考文献

善導寺に関する歴史や情報は、福嶋崇雄氏が著した『南の島に鐘が鳴る』（文芸社、2020年）など、関連する文献で触れられています。

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