善昌寺 (中津川市)

善昌寺について

善昌寺は、岐阜県中津川市落合にある曹洞宗の寺院で、山号を喜翁山と称します。本尊は釈迦如来で、恵那中部新四国八十八ヶ所の第三十九番札所としても知られています。

歴史

善昌寺の歴史は古く、寺伝によれば慶長5年（1600年）以前に嶺厳首座によって創建されました。本尊の釈迦如来像は、円仁（慈覚大師）の作と伝えられています。また、道元禅師と瑩山紹瑾禅師の像も祀られています。

その後、三代を経て延宝年間（1673～1680年）に井口五左衛門によって中興されました。この際、関市の龍泰寺の鰲山正雪大和尚が開山として迎えられました。宝暦13年（1763年）には客殿と庫裏の建設が許可され、明和2年（1765年）に完成しました。

文化15年（1818年）には、恵薫梅苗によって梵鐘が新鋳されました。この梵鐘には「新鐘復挂」と銘文が刻まれており、この時以前から梵鐘が存在していたことがわかります。

明治時代に入ると、善昌寺は大きな変化に見舞われます。中山道の交通が不便になったため、明治24年（1891年）に山口街道（現在の国道19号）の改修工事が行われた際、街道が敷地の中央を通ることになったのです。これにより、伽藍は現在地に移築されました。大正2年（1913年）には位牌堂が造られ、大正8年（1919年）には庫裡の二階が増築されました。この際、堂の天井には落合村出身の画家、森本頴七によって四季の花が描かれました。

昭和17年（1942年）には、第二次世界大戦の影響で梵鐘が戦時供出されましたが、昭和26年（1951年）に新たに鋳造され、再建を果たしました。

境内

善昌寺の山門の右脇には、「門冠（もんかぶり）の松」または「路上の松」と呼ばれる老松があります。この松は根回りが2m30cm、高さが10mにも達する巨木です。

また、境内には「御膳水の井戸」があります。この井戸は、明治13年（1880年）に明治天皇が御巡行の際に使用された由緒ある井戸です。善昌寺は、昭和10年（1934年）に文部省史蹟に指定されましたが、昭和23年（1948年）に指定は解除されています。

寺宝

善昌寺には、以下のような貴重な寺宝が所蔵されています。

円仁（慈覚大師）作と伝わる釈迦如来像（本尊）
道元禅師と瑩山紹瑾禅師の尊像
開山・鰲山正雪の像
大権修理菩薩像
達磨大師像
観世音諸菩薩三十三体
弘法大師像
享保11年（1726年）覚隣筆の釈迦涅槃像
嘉永2年（1849年）上田庄蔵氏寄贈の三条実美の書額
山岡鉄舟書筆の襖絵4枚



善昌寺は、長い歴史の中で幾多の困難を乗り越え、地域の人々の心のよりどころとして存在し続けています。その歴史と文化は、多くの人々に敬意と安らぎを与え続けています。

参考文献

『落合郷土誌』　落合郷土誌編纂委員会　昭和45年(1970年)
『中津川市史　中巻Ⅱ』　1988年
* 『恵那郡史』　恵那郡教育会　1926年

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