喜撰山ダム

喜撰山ダムについて

喜撰山ダムは、京都府宇治市に位置するロックフィルダムであり、淀川水系の寒谷川に建設されています。このダムは、高さ91メートルを誇り、関西電力が運営する揚水式水力発電所である喜撰山発電所の上池として機能しています。喜撰山ダムは、下流にある天ヶ瀬ダム（別名：鳳凰湖）との間で水を循環させることで、最大出力46万6,000キロワットの電力を生成します。ダムは琵琶湖国定公園のエリア内に位置しており、その美しい自然環境と共に利用されています。

歴史的背景

喜撰山ダムの建設は、日本の治水対策の一環として行われました。1953年の台風13号による淀川流域の大水害を受け、全国規模で治水対策が強化されることになりました。経済安定本部は治水調査会の提言に基づき、「河川改訂改修計画」を策定し、淀川水系にも多目的ダムの建設が決定されました。このプランに基づいて、1964年に完成したのが天ヶ瀬ダムです。

喜撰山ダムが建設される以前には、志津川ダム（大峰ダム）が存在していました。これは1924年に宇治川電気によって建設された重力式コンクリートダムでしたが、志津川発電所と共に水没となりました。以降、関電と建設省の協議により、天ヶ瀬ダムが発電を含む多目的用途として建設され、1964年に稼働が開始されました。

関西電力は、増大する電力需要に応じて天ヶ瀬ダム湖への新たな追加水利権を求め、寒谷川に新設される喜撰山ダムを揚水発電に利用する計画を推進しました。1966年からダムの建設が始まり、1970年には発電所と共に完成しました。このダムは、関電にとって初の大規模な純揚水式水力発電所です。

周辺の観光資源

喜撰山ダムの西側には、同名の喜撰山（標高416メートル）があります。この山は平安時代の著名な歌人、喜撰法師と深い繋がりがあります。周囲には、天ヶ瀬ダム、平等院、天ヶ瀬森林公園などの観光スポットが点在しており、多くの訪問者が自然を楽しむことができます。

ただし、喜撰山ダムそのものは一般には開放されていないため、ダム本体を訪れることはできませんが、周辺の観光地は多くの人々に親しまれています。自然学習や散策などを楽しむために、多くの方がこの地域を訪れています。

結論

喜撰山ダムは、治水と発電の両面から重要な役割を果たしているダムであり、周辺の自然環境も魅力的です。このダムは、日本の治水対策の一環として重要な歴史を持ち、現代社会においても貴重な電力供給の一端を担っています。

もう一度検索