喧嘩富士

橋幸夫の楽曲『喧嘩富士』

『喧嘩富士』（けんかふじ）は、橋幸夫の代表的な楽曲である。この曲は、1960年11月5日にビクターからリリースされ、橋の4枚目のシングルとして多くの人々に親しまれている。作詞は佐伯孝夫、作曲は吉田正により制作された。

背景とリリースの経緯

橋幸夫はデビューシングル「潮来笠」で大ヒットを飛ばし、その人気を一気に確立。その後、3作目の「おけさ唄えば」を成功させ、4作目にあたる『喧嘩富士』を発表した。リリースは異例のスピードで行われ、わずか3ヶ月の間に「おけさ唄えば」、「喧嘩富士」、「木曽ぶし三度笠」の3つの新譜が公開された。このサイクルの中で、橋は「新曲を出すことがファンの楽しみだった」と振り返っている。これにより、彼の恩師である吉田は、橋に寄り添いながら楽曲制作を続け、多くの楽譜を手がけることとなる。

この楽曲は、佐伯が提供する股旅物としての重要な作品であり、橋にとって3作目にあたる。ジャケットにはスーツ姿の橋が描かれ、伝統的な股旅姿のイラストは使用されていない。また、振り付けもなく、シンプルに楽曲そのものに焦点が当てられている。

楽曲のヒットと受賞

『喧嘩富士』は、1961年に15万枚を売り上げ、ビクターの年間ヒット賞を受賞する成果を残した。その人気の秘訣は、キャッチーなメロディと歌詞によるもので、多くのファンを魅了し続けた。収録曲には、もう一つの楽曲「流転がらす」も含まれており、こちらも同じく佐伯と吉田の作品である。

音楽の収録アルバムには、『橋幸夫 全曲集』や『元祖、股旅ここにあり！』などが存在し、後の世代にもその名曲が引き継がれている。

映画化された『喧嘩富士』

楽曲の成功を受けて、1961年4月26日には映画『喧嘩富士』が公開された。この映画は勝新太郎、橋幸夫、小林勝彦の共演によるものであり、娯楽時代劇として多くの観客を楽しませた。物語は、やくざ志願の魚屋の源太（勝新太郎）と、同じくやくざになりたい坊主の権三（小林勝彦）が、流し芸人の鶴太郎（橋幸夫）と共にやくざ一家の縄張り争いに巻き込まれる様子を描いている。監督は渡辺邦男で、88分のモノクロ映画として制作された。

映画は、285週末を含む様々な上映を経て、1998年にVHSとしてリリースされたが、その後のDVD化はなされていない。

最後に

『喧嘩富士』は、橋幸夫にとって重要な楽曲の一つであり、彼の音楽キャリアにおいても大きな役割を果たした。時代を超えて愛されるこの楽曲は、今後も多くのファンに親しまれ続けるだろう。

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