営団500形電車

東京地下鉄丸ノ内線を彩った赤い電車たち：営団300形・400形・500形・900形

丸ノ内線の開業と共に登場し、日本の鉄道史に名を刻んだ営団300形、その改良型である400形、そして大量増備された500形、さらに中間車として活躍した900形。これらの電車たちは、最盛期には320両もの大所帯で、丸ノ内線の「赤い電車」として親しまれました。ここでは、これらの形式について詳しく解説します。

概要

これらの電車は、日本の鉄道技術における革新的な試みが数多く盛り込まれていました。両開きドア、WNドライブ、電磁直通ブレーキなど、現代の鉄道車両にも引き継がれる技術が、当時としては最先端の技術として採用されました。また、赤地に白帯という斬新なカラーリングは、それまでの鉄道車両のイメージを覆し、人々に強い印象を与えました。

300形

1954年の丸ノ内線開業時に登場した300形は、両運転台構造を持つ車両でした。18mの車体に両開きドアが片側3つ、大きな窓が特徴的で、当時の銀座線の車両よりも一回り大きなサイズでした。アメリカ・ニューヨーク市地下鉄の技術を参考に開発され、特に電装品やブレーキシステムは、アメリカのWH社の技術を導入し、日本の技術者たちに大きな衝撃を与えました。300形は、日本の高性能電車開発の礎を築いたと言えるでしょう。

400形

300形の増備車として1956年に登場した400形は、300形から換気ダクトの構造が変更され、外観が少し異なっています。また、大幅な軽量化が図られ、台車も様々な種類が採用されました。特に、アルストム系のリンク式軸箱支持装置を持つ台車は、その後の丸ノ内線、銀座線、日比谷線用車両にも広く採用されました。

500形

400形の増備車として1957年に登場した500形は、それまでの両運転台構造から片運転台構造に変更されました。これは、単独運転の必要がなくなったためです。1964年まで234両が製造され、丸ノ内線の輸送力増強に大きく貢献しました。増備期間が長かったため、製造時期によって細部に違いが見られます。また、映画『007は二度死ぬ』に登場したことでも知られています。

900形

1965年に登場した900形は、中間車専用の形式でした。500形の構造を基本としていますが、内装にアルミデコラ化粧板や金属製荷棚を採用するなど、新しい試みも取り入れられました。

更新工事と終焉

1973年から、これらの車両に対して更新工事が実施されました。内装の交換、行先表示器の電動化、窓のアルミサッシ化などが行われ、快適性が向上しました。しかし、老朽化には勝てず、1990年代には順次廃車が進み、1996年までに全車引退しました。

保存車両と海外譲渡

引退後、一部の車両は保存され、そのうち301号車は地下鉄博物館に展示されています。また、131両もの車両がアルゼンチン・ブエノスアイレスに譲渡され、現在も地下鉄B線で活躍しています。赤い車体は現地でも好評で、ラインカラーを赤に変更して対応した時期もありました。近年、ブエノスアイレスから里帰りした車両も存在し、動態保存を目指して整備されています。

まとめ

営団300形、400形、500形、900形は、丸ノ内線の歴史を語る上で欠かせない存在です。その革新的な技術とデザインは、日本の鉄道車両に大きな影響を与え、現在も国内外でその姿を見ることができます。これらの赤い電車たちは、人々の記憶の中で永遠に走り続けるでしょう。

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