営業写真館

営業写真館についての詳細

営業写真館（えいぎょうしゃしんかん）とは、一般の顧客から依頼を受けて様々な写真撮影を行う店舗や職業です。これらの写真館は、カメラ店やDPE（写真フィルムの現像・焼付けを行う店）とは異なり、主に撮影を業務としています。以下に、営業写真館の主な業務内容や歴史について詳しくご説明いたします。

主な業務内容

営業写真館では、以下のような撮影サービスが提供されています。

• - 個人の成人式や見合い用のポートレート写真
• - 学校の卒業記念写真とそのアルバム制作
• - 企業や自治体の行事における集合記念写真
• - 結婚式や披露宴でのスナップ写真や集合写真
• - 葬儀における遺影製作
• - 就職活動用や学校の受験票に必要な証明写真の撮影

これらの業務では、スナップ写真とは異なり、修整やスポッティングといった加工も行われ、仕上げとして台紙への装飾などの作業が含まれます。また、カメラ店やDPE店同様に、写真フィルムや関連する消耗品の販売も手がけることが一般的です。

業界の変化と現状

20世紀後半から、カメラの価格が下がり、コンパクトで高性能、高自動露出機能を持つモデルが多く登場したため、特別な機材や技術なしでも写真撮影ができるようになりました。その結果、七五三や成人式を祝う文化が縮小し、古典的な営業写真館のビジネスは苦戦しています。しかし、結婚式や卒業アルバムについては、依然としてプロの撮影を希望する需要が高く、多くの営業写真館が結婚式場や学校と固定契約を結ぶことで、安定した経営を維持しています。

最近では、特定のニーズに応じた営業形態が増えており、例えば「スタジオアリス」といった子供向け専門のチェーン店が登場しています。これにより、撮影用小物や衣装の豊富な取り揃えが容易になり、市場が多様化しています。

撮影機材の変化

多くの写真館では、中判カメラが主に使用されていますが、デジタルカメラやビデオカメラが普及し、使いやすさと撮影後の確認が容易になったことで、これらの機材が中心となる店舗も増えています。また、大判カメラの使用は減少傾向にあり、撮影のスタイルも時代に合わせて変化してきています。子供専門の写真館チェーンでは、コスト削減のためにパートタイマーを活用するなど、新しいビジネスモデルの導入もあります。

営業写真館の歴史

日本における営業写真館の起源は、幕末の長崎において上野彦馬が開業した「上野撮影局」とされます。明治初期には、木製の暗箱と三脚を使用し、感光材料としては湿板から乾板に変わる過程がありました。これらの感光材料は扱いが難しく、撮影後は急いで現像が必要だったため、専用のスタジオと現像所を持つ必要がありました。これが昭和時代を通じて営業写真館のスタイルとなりました。現在では、日本写真館協会には約4300軒のメンバーがあり、独立系を含めると、推定で2万軒以上の営業写真館が存在しています。

参考文献

営業写真館の歴史や関連情報について詳しく知りたい方は、以下の文献をご参照ください。
1. 亀井武『日本写真師の落穂拾い』シリーズ
2. 濵畠太『幕末明治の写真師の軌跡』

営業写真館は、私たちの人生のさまざまな瞬間を形に残す大切な存在として、今もなお多くの人々に支持されています。

もう一度検索