嘉例川駅

嘉例川駅について

嘉例川駅（かれいがわえき）は、鹿児島県霧島市隼人町嘉例川に位置する、九州旅客鉄道（JR九州）肥薩線の駅です。この駅は、その歴史的な価値と、地域に根ざした魅力で、多くの人々を惹きつけています。

歴史

嘉例川駅は、1903年（明治36年）1月15日に開業しました。開業当初は、駅長を含む数名の駅員が常駐し、妙見温泉への玄関口として、湯治客で賑わいました。湯治客は、鉄道で別送した布団を、駅から温泉宿まで担ぎ屋に運ばせていたそうです。

1920年（大正9年）には、当時の皇太子（後の昭和天皇）が高屋山上陵参拝のために当駅を利用されました。この際には、沿道に4万人以上の住民が集まり、盛大な歓迎が行われたそうです。

1984年（昭和59年）に無人化されましたが、2003年（平成15年）には、元駅員らが中心となって開駅100周年を祝うイベントが開催され、多くの人々が集まりました。このイベントの成功がきっかけとなり、2004年（平成16年）には特急「はやとの風」の停車が決まりました。

駅舎は、2006年（平成18年）に国の登録有形文化財に登録されました。また、2007年（平成19年）には南九州近代化産業遺産群の1つに選ばれています。

駅の構造

嘉例川駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅で、木造の駅舎が特徴です。駅舎は、明治時代の規格設計図を参考に建設されたと推測されており、県内でも最古級の駅舎です。

駅舎は、2004年（平成16年）に当時の隼人町によって購入され、保護されています。駅舎の整備や清掃は、地元のボランティアによって行われています。駅前には砂利が敷き詰められ、カイヅカイブキの大木が立っています。

駅弁

嘉例川駅では、土日祝日に限り、地元の弁当製造業「森の弁当やまだ屋」が製造する『百年の旅物語かれい川』（通称「かれい川弁当」）が販売されています。

この駅弁は、竹の子ご飯や地元食材を使ったおかずが特徴で、県内外を問わず人気が高いです。JR九州主催の「九州の駅弁ランキング」では、過去に3年連続で1位に輝いたこともあります。1日100食限定で、嘉例川駅でしか購入できないため、「幻の駅弁」とも呼ばれています。

また、2013年には第2弾となる『花の待つ駅かれい川』が発売開始され、こちらも数々の賞を受賞しています。

その他の特徴

嘉例川駅は、駅猫「にゃん太郎」が観光大使を務めていたことでも知られています。にゃん太郎は2020年に亡くなりましたが、2022年には2代目の観光大使として「さんちゃん」が任命され、駅のアイドルとして親しまれています。

駅周辺には、新川渓谷温泉郷への入口があるほか、嘉例川簡易郵便局や、地域住民が運営する「かれい川小さな博物館」などがあります。また、駅前からはバスも利用でき、鹿児島空港などへのアクセスも可能です。

嘉例川駅は、その歴史的な駅舎、美味しい駅弁、そして地域の人々の温かさがあふれる、魅力的な駅です。

年表

1903年（明治36年）1月15日：開業。
1962年（昭和37年）9月20日：貨物取扱廃止。
1984年（昭和59年）2月1日：荷物扱い廃止。無人駅となる。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承。
2003年（平成15年）1月12日：開業百周年記念事業が行われる。
2006年（平成18年）3月2日：駅本屋が登録有形文化財になる。
2007年（平成19年）11月30日：南九州近代化産業遺産群に選ばれる。
2010年（平成22年）4月25日：新しい大型駐車場の完成を祝って記念式典を開催。

駅構造

単式ホーム1面1線を有する地上駅。
無人駅。
木造駅舎。
駅前広場は手狭であったが、約150mの位置に駐車場が整備された。

駅弁

百年の旅物語かれい川（通称「かれい川弁当」）: 土日祝日のみ販売。
花の待つ駅かれい川。
筍 (ミニサイズ版の「かれい川弁当」)

利用状況

2016年度の1日平均の乗車人員は35人。

駅周辺

嘉例川簡易郵便局
かれい川小さな博物館
新川渓谷温泉郷

バス路線

霧島周遊観光バス
鹿児島交通（妙見路線バス）
鹿児島交通（旧・いわさきバスネットワーク）

駅猫

にゃん太郎（初代観光大使、2020年7月11日没）
さんちゃん（2代目観光大使、メス）

その他

忌野清志郎のシングル曲『Oh! RADIO』のプロモーションビデオの撮影場所となった。

隣の駅

肥薩線 霧島温泉駅 - 嘉例川駅 - 中福良駅

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