嘉悦氏房

嘉悦氏房について

嘉悦氏房（かえつ うじふさ）は、天保5年（1834年）1月に肥後国本山村（現在の熊本県熊本市）で生まれた日本の政治家です。彼は熊本藩士の子供として育ち、横井小楠の元で学び、尊王運動に従事するようになりました。

初期の活動と尊王運動

氏房は若い頃、宮部鼎蔵の影響を受けて尊王の思想に傾倒し、頻繁に上京しては橋本左内や坂本龍馬、西郷隆盛といった当時の著名な志士たちと交流を深めていきました。彼の活動は明治維新に向けた流れの中でも重要な位置を占めていました。維新後は、熊本藩が新政府に反抗的であるとの疑念をかけられた時も、長崎に赴いてその真意を澄明することで冷静に事態を収めました。

政治と官職の経歴

明治3年（1870年）には民部省に出仕し、すぐに大蔵省へ異動。続いて胆沢県大参事、熊本県少参事、八代県権参事を歴任しました。しかし、明治6年（1873年）には、白川県権参事に就任するも、権令である安岡良亮との対立から官職を辞することとなりました。このような経歴は、彼の強い意志を示しており、それが後の活動にも影響を与えました。

教育事業と地域貢献

官を辞めた後、氏房は熊本県の本山村に戻り、自邸に「広取黌」、別名「広取英学校」を設立しました。この学校には内田康哉（後の外務大臣）や林田亀太郎（後の衆議院議員）、亀井英三郎（後の警視総監）といった有名な人物たちが学んでいます。さらに、氏房は製糸事業や製茶事業を始めるなど、地域経済の振興にも寄与しています。

政治的影響力の深化

明治12年（1879年）には熊本県会議員に選出され、翌年には議長に就任しました。さらに明治15年（1882年）には山田武甫や前田案山子と共に九州改進党を結成し、九州の政治改革に力を注ぎました。明治20年（1887年）には九州鉄道の設立にも参加するなど、交通インフラの発展にも寄与しました。

最後の日々

彼は明治26年（1893年）に衆議院議員として一期務めましたが、人生の終焉を迎えるのは明治41年（1908年）10月30日のこと。千駄ヶ谷の自宅で脳溢血により亡くなりました。

家族と遺産

嘉悦氏房の家族には、長女の嘉悦孝が学校法人嘉悦大学の創立者として名を馳せ、二男の嘉悦敏は陸軍少将として軍務に励んでいました。彼の家族もまた、彼の意志を引き継ぎ、社会の中で活躍しています。

彼の多岐にわたる業績と生涯は、明治時代の日本における政治や教育の発展に少なからず影響を与えました。今も彼の足跡は地域社会に根付いており、その遺産は色褪せることなく引き継がれています。

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