嘉悦孝

嘉悦孝（かえつ たか）

嘉悦孝は、1867年（慶応3年）に熊本県熊本市で生まれ、1949年（昭和24年）に亡くなった日本の女性教育者です。彼女は、女子のための商業教育の先駆者として知られ、学校法人嘉悦学園の創立者でもあります。

人物

嘉悦孝の父である嘉悦氏房は、熊本藩の儒学者であり、横井小楠の教えを受けていました。孝は幼少の頃から父を通して学問を学び、実学思想を身につけました。彼女が女子の経済的自立について考えるようになった背景には、父が経営していた製紙工場で、女性たちが労働者として働いていたことがあります。彼女は、女性が経済的に自立することが重要だと考え、教育を通してそれを実現しようとしました。

成長した孝は、東京の成立学舎女子部で学び、教育への理解を深めました。卒業後は同校で教鞭をとり、日本女子教育会講師などを務めました。そして1903年（明治36年）、私立日本女子商業学校を創立しました。

学校の創立にあたっては、資金繰りに苦労したようです。鉄道債を購入して運用していましたが、購入時よりも価値が下落してしまい、大変な苦労を経験しました。しかし、彼女は諦めずに、商業教育の援助を行っていた渋沢栄一を訪ね、日本女子高等商業学校の新校舎建設費用の援助を依頼しました。渋沢は、建設後援会の発起人となり、建設資金を寄付しました。また、渋沢は亡くなるまで、同校の顧問を務めました。嘉悦孝は、弟に陸軍少将の嘉悦敏がいます。

活動

嘉悦孝は、教育活動以外にも、多くの社会活動に参加しました。

花の日会（赤い羽根共同募金の先駆）
女子校長会
愛国婦人会
婦人税制研究会
警察官家庭後援会
少年保護婦人協会
婦人衛生会
救治会

これらの活動を通して、女性の地位向上や社会貢献に尽力しました。

受章歴

嘉悦孝は、その功績が認められ、以下の勲章を受章しています。

1915年（大正4年）11月10日 - 勲五等宝冠章
プロシア国赤十字第二等章第三等章（1920年12月）
赤十字第二等名誉章（1926年6月 ドイツ国政府）
勲四等瑞宝章（1949年2月）
熊本県近代文化功労者顕彰（1950年）

著書

嘉悦孝は、教育活動のかたわら、多くの著書を執筆しました。これらの著書は、当時の女性の生活や教育に関する貴重な資料となっています。

料理講習筆記 信濃教育会小県郡会上田婦人談話会 百合舎書店 1903.2
学校生活 金港堂 1904.2 (家庭小説)
新家庭 金港堂 1904.2 (家庭小説)
割烹新書 井上善兵衛と共著 隆文館 1905.4
惣菜料理のおけいこ 宝永館 1907.6
主婦の修養 津川梅村と共著 平民書房 1907.7
家政学講話 同文館 1908.12
女四書評釈 日本女子商業学校 1911.12
花より実を取れ 田中久編 東亜堂書房 1915 (縮刷名著叢書)
怒るな働け 洛陽堂 1915
現在の生活費から思はぬ貯金を産み出す法 春秋社書店 1916
どなたにも向く安価お料理 恋人社 1916
価値ある生涯 丁未出版社 1917
理想の奥様 日本書院 1917
貯金の出来る経済の取り方 実業之日本社 1917
貯金の出来る模範生活法 青雲社 1917
家庭生活の改造 日新閣 1919
家庭と予算生活 教化団体聯合会 1925 (教化資料)
教養経済婦人読本 教文社 1927
私の進言 明治書院 1937
礼法要項詳解 昭和出版協会 1942

関連事項

かえつ有明中学校・高等学校
嘉悦大学

外部リンク

* 嘉悦学園 建学の精神

嘉悦孝は、女子教育の発展に大きく貢献しただけでなく、社会活動にも積極的に参加し、女性の地位向上に尽力しました。彼女の残した功績は、今日の社会においても高く評価されています。

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