嘉藤貴行

嘉藤貴行：ゲームから始まった競馬人生、そして新たな挑戦

東京都大田区大森で育った嘉藤貴行氏は、競馬とは無縁の家庭環境で育ちました。しかし、ゲーム『ダービースタリオン』がきっかけで競馬に興味を持つようになり、身長が低いことを理由にJRA競馬学校を受験。見事合格を果たします。

2000年、競馬学校を卒業。同期には、後に活躍する多くの騎手たちが名を連ねていました。3月4日、中山競馬場で騎手としてデビュー。初騎乗は9着という結果に終わりましたが、同日の12レースで初勝利を飾ります。この年は19勝を挙げ、民放競馬記者クラブ賞を受賞するなど、華々しいデビューを飾りました。

3年目には、菊花賞トライアルであるセントライト記念で3着に入るなど、早くから才能の片鱗を見せます。そして、念願のGIレースである菊花賞にも騎乗を果たしました。

その後、2008年には所属厩舎を離れフリーとなり、騎手としてのキャリアを歩み続けます。しかし、デビュー5年目以降は勝利数が減少。10勝を下回る年も続き、引退も考え始めるほど苦しい時期を経験しました。調教助手として新たな道を歩むことも視野に入れ、鹿戸雄一厩舎での調教助手就任の手続きも進めていたといいます。

そんな中、転機が訪れます。2012年、ミルファームからの騎乗依頼が急増。さらに、偶然タクシーで乗り合わせた横山典弘氏から励ましの言葉をかけられたことで、騎手を続けることを決意しました。

そして、同年6月2日、JRA通算100勝を達成。自身の騎手生活を振り返り、「勝てない時期には辞めようかと思ったこともありましたが、今は続けてきてよかったという気持ちです」とコメントしています。

さらに、同年8月には、14番人気だったミナレットに騎乗し勝利。このレースでは、12番人気と10番人気が2着同着となり、3連単の払戻金が公営競技史上最高の金額を記録しました。このレースは、嘉藤氏の騎手人生における大きな転換点の一つとなりました。

その後も、12年ぶりのGI騎乗となる阪神ジュベナイルフィリーズなど、数々のレースに挑戦。コメートとのコンビでホープフルステークス2着、そして日本ダービーでは16番人気ながら5着と健闘するなど、多くの感動的な場面を生み出しました。

2016年には結婚。婚姻届を出す際には、騎乗依頼のしやすさを考慮し、苗字を「加藤」に変更できないか検討したというエピソードも残っています。

2021年12月、2度目の受験でJRA調教師免許試験に合格。長年の騎手生活に幕を閉じ、2022年1月1日付けで調教師に転身しました。3月1日には厩舎を開業し、3月20日には開業5戦目で初勝利を挙げ、新たなキャリアを着実に歩み始めました。

騎手時代には、民放競馬記者クラブ賞（関東新人騎手賞）や場長表彰などを受賞。レディパステル、コメート、ダイイチターミナルなど、数々の名馬にも騎乗しました。

嘉藤氏の物語は、ゲームから始まった競馬人生から、調教師として新たな挑戦を続ける物語へと続きます。その歩みは、多くの人々に勇気と感動を与え続けるでしょう。

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