噴火山の女

映画『噴火山の女』の詳細解説

『噴火山の女』（イタリア語: Vulcano）は、1950年に公開されたイタリア映画で、ロベルト・ロッセリーニが当初アンナ・マニャーニ主演で企画していたものの、イングリッド・バーグマン主演の『ストロンボリ』へと変更された企画に対抗し、同じ火山島を舞台に制作されました。

制作背景

当初、ロッセリーニはアンナ・マニャーニを主演に据えた作品を企画していました。しかし、その企画はバーグマン主演の『ストロンボリ』に取って代わられ、その対抗として、『噴火山の女』が企画されました。撮影は1949年の夏に行われ、1950年1月21日に検閲を通過しています。

撮影は主にヴルカーノ島で行われ、一部はサリーナ島でも実施されました。

日本では、松竹洋画部とイタリフィルムが共同で配給を行い、1953年3月10日に武蔵野館、テアトル銀座、テアトル渋谷、五反田セントラル、人形町武蔵野館、池袋ロサ、江東吉本劇場、松坂シネマ、浅草松竹座で一斉に公開されました。

ストーリー

物語の舞台は、シチリア島北方のエオリア諸島に位置するヴルカーノ島です。水道も電話もない辺境の火山島に、マッダレーナ（アンナ・マニャーニ）が18年ぶりに帰ってきます。妹のマリア（ジェラルディン・ブルックス）と弟のニーノ（エンツォ・スタヨーラ）はマッダレーナを温かく迎えましたが、村人たちは冷たい視線を送ります。

マッダレーナたちは軽石の採掘場で働きますが、そこで彼女の過去を知らされます。そんな中、潜水夫のドナート（ロッサノ・ブラッツィ）が現れ、マリアを誘惑し始めます。世間知らずのマリアはドナートに惹かれ、アメリカに婚約者がいるにもかかわらず、彼との未来を夢見ます。マッダレーナはマリアに忠告しますが、マリアはそれを嫉妬からだと誤解します。

マッダレーナは妹をドナートから引き離そうと、自らドナートに身を任せますが、その行動はかえってマリアの気持ちを強めてしまいます。最終的に、マッダレーナはドナートが潜水中に送られる空気を止めるという手段に出ます。

警察の捜査の結果、ドナートは指名手配犯であることが判明し、マリア宛ての婚約者からの手紙も隠し持っていたことがわかります。そして、その頃、島で火山が噴火を始めます。人々が逃げ惑う中、殺人を犯したマッダレーナは生きる望みを失い、一人静かに歩き去ります。

キャスト

マッダレーナ：アンナ・マニャーニ
ドナート：ロッサノ・ブラッツィ
マリア：ジェラルディン・ブルックス
ニーノ：エンツォ・スタヨーラ

映画の特徴

この映画は、閉鎖的な火山島を舞台に、複雑な人間関係と愛憎劇を描いています。特に、アンナ・マニャーニの迫真の演技が注目に値します。また、当時のイタリアの社会情勢や人々の生活が垣間見える点も特徴です。

関連情報

噴火山の女 - IMDb（英語）
“Vulcano” - Archivio del cinema italiano

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