ロッサノ・ブラッツィ

ロッサノ・ブラッツィ

人物とキャリアの概観

ロッサノ・ブラッツィ（Rossano Brazzi、1916年9月18日 - 1994年12月24日）は、イタリアのエミリア・ロマーニャ州ボローニャに生まれた俳優です。イタリア国内での輝かしいキャリアを築いた後、第二次世界大戦期には反ファシストのレジスタンス活動に関与。戦後、ハリウッドへと渡り、国際的な名声を獲得しました。特に情熱的な「ラテン・ラヴァー」としてのイメージが確立され、1950年代以降、数多くの著名なアメリカ映画や国際共同製作作品で主役級の役柄を演じ、世界的なスターとして記憶されています。

初期とイタリアでの活動

ブラッツィは4歳の時に故郷ボローニャを離れ、トスカーナ州フィレンツェに移り住みました。サンマルコ大学で学んだ学生時代に演劇の世界に魅せられ、卒業後、当初就職した弁護士事務所での仕事の傍ら、舞台での演技活動を開始します。また、当時のラジオドラマや、イタリア語に吹き替えられるアメリカ映画の声優としてもその才能を発揮し、キャリアの基盤を固めていきました。1939年にはイタリア映画で俳優として本格的に映画界に足を踏み入れ、その才能はすぐに認められます。そして、1942年に主演した映画『われら生きるもの』が大ヒットを記録し、一躍イタリア国内のスターダムへと駆け上がりました。

戦時下の活動と国際への道

順調にキャリアを積んでいたブラッツィでしたが、時代は第二次世界大戦の真っただ中にありました。彼は反ファシズムを掲げるレジスタンス運動に身を投じ、その活動のために一時的に地下へ潜伏することを余儀なくされます。戦後、イタリア映画界に戻る一方で、新たな活動の場を求めアメリカ合衆国へと渡ります。1947年の初渡米後、1949年にはマーヴィン・ルロイ監督の映画『若草物語』に出演しますが、残念ながらこの時はハリウッドでの大きな成功には繋がらず、イタリアへの帰国を選択しました。

ハリウッドでの再出発と国際的成功

しかし、ブラッツィのハリウッドへの挑戦は終わりませんでした。再び渡米した彼は、1954年の映画『裸足の伯爵夫人』への出演を機に、国際的な俳優としてのキャリアを華々しく再出発させます。この作品を皮切りに、彼はその魅力的な容姿と情熱的な演技で「ラテン・ラヴァー」としてのイメージを確立し、数々のハリウッド大作に重要な役柄で出演するようになります。特に、デヴィッド・リーン監督の傑作『旅情』（1955年）や、美しいローマを舞台にした『愛の泉』（1958年）といった作品でのロマンチックな演技は、世界中の観客を魅了し、彼を揺るぎない国際的なスターの地位へと押し上げました。これらの成功により、彼は長年にわたりアメリカを含む各国の映画で活躍し続けました。

エピソードと晩年

ブラッツィのキャリアにおいて、興味深いエピソードとして知られているのは、フランシス・フォード・コッポラ監督の不朽の名作『ゴッドファーザー』（1972年）において、マフィアのボス、ヴィトー・コルレオーネ役のオファーがあったものの、これを辞退したという話です。この役は最終的にマーロン・ブランドが演じ、歴史に残る名演となりました。もしブラッツィがこの役を受けていれば、彼のキャリアはさらに異なる展開を見せたかもしれません。国際的な俳優として長きにわたり活躍した後、ロッサノ・ブラッツィは1994年12月24日にその生涯を終えました。イタリア映画界とハリウッドの架け橋となった俳優として、彼の功績は今なお語り継がれています。

主な出演作品（本文より抜粋）

われら生きるもの (1942)
若草物語 (1949)
裸足の伯爵夫人 (1954)
旅情 (1955)
愛の泉 (1958)

外部リンク

ロッサノ・ブラッツィ - IMDb (英語)

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