四ツ浜村

四ツ浜村（よつはまむら）とは

四ツ浜村は、1956年（昭和31年）まで愛媛県西宇和郡に存在した村です。現在の伊方町の中部に位置し、佐田岬半島のほぼ中央に位置する農漁村でした。この村は、昭和の大合併により瀬戸町となり、さらに平成の大合併を経て、現在は伊方町の一部となっています。

地理

四ツ浜村は、佐田岬半島のほぼ中央に位置し、北は伊予灘、南は宇和海に面しています。村の中央には見晴山（395メートル）などの山地が東西に走り、半島を南北に分けています。村の西部、伊予灘側には高茂と呼ばれる緩やかな斜面があり、そこでは牧畜が行われていました。東は三机村、西は三崎町と隣接していました。伊予灘側の海岸は複雑に入り組んでいますが、宇和海側には大久海岸や川之浜海岸などの砂浜が広がっています。

地名の由来

四ツ浜村の名前は、この地域を構成する4つの浦から名付けられました。

歴史

古代 - 中世

中世には、宇都宮房綱の所領の一部であったとされています。大久には、宇都宮房綱の家臣である大久主馬範貞が館を構え、大久と田部を治めていました。その後、大久主は二宮姓を継ぎ、三崎土居城に移ったため、大久と田部の2つの浦は三崎浦に属するようになりました。

藩政期

江戸時代には宇和島藩領となり、藩内は10の組に分けられましたが、四ツ浜村は保内組に属していました。さらに、田部と大久は三崎浦、他の地域は三机浦に属するとされました。

明治以降

1889年（明治22年）12月15日、明治の町村制施行により、4つの浦が合併して四ツ浜村が誕生しました。1947年（昭和22年）には四ツ浜中学校が開校し、同じ頃、高茂に集団入植が行われ、肉牛の肥育が始まりました。1953年（昭和28年）には、高茂に四ツ浜牧野が開拓されました。しかし、1956年（昭和31年）6月1日、三机村と合併し、瀬戸町となったことで、四ツ浜村としての歴史は幕を閉じました。

地域

四ツ浜村は、川之浜、大久、田部、神崎の4つの枝浦から構成されています。これらの浦は、明治の町村制施行後も小字として存続し、後に田部から高茂が独立しました。大久が村の中心で、役場（合併後は支所）、小中学校、郵便局、駐在所などが置かれていました。

行政

村役場は、字大久に置かれていました。

産業

農業

四ツ浜村を含む佐田岬半島は、藩政期から軍馬の産地として知られていました。牧畜は三崎浦から伝わったとされ、明治時代には肉牛の肥育が盛んになりました。特に、「三崎黒牛」「三崎牛」は有名でした。戦後には、高茂に集団入植が行われ、牧畜がさらに発展しました。しかし、昭和40年代以降は衰退し、その後、甘夏柑や葉タバコ栽培が盛んになりました。四ツ浜村の篤農家としては、土井儀満、三好萬平、上甲丈夫などが知られています。

漁業

漁業では、主に鰯漁が行われていました。

交通

四ツ浜村には鉄道が通っておらず、現在も同様です。海岸線に沿って道路が整備されていましたが、地形的な制約から交通は不便で、海上交通が重要な役割を果たしていました。戦後になって、八幡浜と大久を結ぶバス路線が開通しました。

名所

大久海岸
川之浜海岸
神崎番匠鼻

主な出身者

向井鹿松（経済学者）

脚注

参考文献

大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。

関連項目

愛媛県の廃止市町村一覧

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