四式陶製手榴弾

手榴弾四型について

手榴弾四型は、第二次世界大戦の末期に日本海軍で製造された兵器で、通称「四式陶製手榴弾」と呼ばれています。この手榴弾は、日本が連合国軍による攻撃や海上封鎖に直面したため、資源が不足していた時期に開発されました。特に金属資源の枯渇が深刻であり、国民は金属製品を供出することを求められる始末でした。このような状況下で日本海軍は、鉄で作られていた手榴弾を陶磁器で製造するという独自のアプローチを取らざるを得ませんでした。

開発の背景

日本海軍の手榴弾四型は、名古屋の陶器会社が最初に開発したとされています。その後、陶磁器生産が盛んな有田や波佐見などの地域で量産が行われるようになりました。しかし、陶磁器自体は手榴弾の外殻の製造のみであり、内部に使用する火薬や信管などの起爆装置は、埼玉県に所在する陸軍造兵廠の工場で製造されました。

設計と特性

手榴弾四型は基本的に、陶磁器製の弾体に八八式爆薬を詰めたシンプルな構造です。形は球形や鉄製の手榴弾を模したものに分かれ、発火方式には摩擦発火式を採用しました。手榴弾の上部には防水用のゴム製キャップが取り付けられ、陶製の外殻は水や衝撃からの保護として薄いゴム袋で覆われていました。この手榴弾は、発火時に内部の火薬が爆発し陶磁器が破裂する構造ですが、その特性上、金属製手榴弾と比べて殺傷力は劣っていました。

実戦での運用

この手榴弾は、硫黄島や沖縄戦に投入され、戦闘の現場で実際に使用されました。しかし、終戦の際、浅野カーリット埼玉工場には約600トンの未完成品が存在していたと言われています。そのため、実戦での有効性や信頼性には疑問が残ります。

類似の兵器

また、手榴弾四型に類似する兵器として、非金属性地雷である三式[[地雷]]甲も同じ工場で製造されていました。この時期、多くの国が物資不足を理由に陶器やコンクリートを使用した手榴弾を開発しており、ソビエト連邦やナチス・ドイツなどがその例です。

戦後の状況

戦後の日本では、終戦後に投棄された四式陶製手榴弾が埼玉県のびん沼川に多数残されていることが報告されています。75年以上経っても、その陶片が河底や河原に存在し続けています。中には、元従業員が自宅に持ち帰り手榴弾の部品を花壇の土に撒いた例もあるようです。2006年には、浅野カーリットの元従業員の証言をまとめた映像作品『陶製手榴弾』も制作されました。

手榴弾四型は、物資不足の中での苦肉の策によって生まれた兵器として、戦争の悲惨さを物語っています。

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