四月怪談

四月怪談

『四月怪談』は、大島弓子による日本の短編少女[[漫画]]作品、およびそれを中心とした作品集です。表題作は、主婦之友社『ギャルズライフ』1979年6月号に掲載されました。作者自身が見た夢が基になっており、幽霊と遊ぶという幻想的な体験が描かれています。また、本作を原作とした実写映画が1988年に公開されています。

あらすじ

高校生の国下初子は、登校中に工事現場の落下物に当たって命を落とします。幽霊となった初子は、同じく霊である岩井弦之丞と出会います。弦之丞は、初子に早く肉体に戻って生き返るように忠告しますが、自由に空間を浮遊できる心地よさを知った初子は、なかなか現世に戻ろうとしません。弦之丞は、百年前に亡くなり、奇跡的に自分の肉体が見つかって生き返ることを願っています。初子の葬儀前に彼女を肉体に戻さなければと焦ります。

一方、初子は生前行けなかった場所を訪れますが、霊であるため誰にも認識されず、自分から働きかけることもできません。唯一、霊感があるという同級生の夏山登だけが、初子の存在に気づき会話を交わします。初子は夏山の家を去り、夏山は電話で初子の死を知らされ、初子が自分の部屋にいると笑い飛ばしますが、部屋に戻ると誰もいません。

初子は、想いを寄せていた津田沼が別の少女の告白に応じているのを見てショックを受けます。さらに、幼い頃に大好きだったレンゲ畑が更地になっているのを見て、生き返る気力を失います。弦之丞は初子を葬儀の場へ連れて行こうとしますが、初子は自分の体を弦之丞にあげて彼が生き返ればいいと言い始め、激しい口論になります。しかし、棺が閉じられ火葬されそうになった時、夏山がレンゲの花束を持って現れ、初子が好きだったこの花を入れてやりたいと頼みます。それを聞いた母親も泣き叫び始め、棺の蓋が開けられた瞬間、初子の霊は弦之丞の手を引いて肉体に戻り、初子は蘇ります。

登場人物

国下初子（くにしたはつこ）：物語の主人公。高校生で、不慮の事故で命を落とすが、幽霊となる。
岩井弦之丞（いわいげんのじょう）：百年前に亡くなった幽霊。初子に生き返るよう忠告する。
夏山登（なつやまのぼる）：初子の同級生で、霊感がある。
津田沼（つだぬま）：初子が想いを寄せるクラスメイト。
委員長：津田沼に告白するクラス委員長。
初子の母親：初子の死を悲しむ母親。
初子の父親：初子の父親。

同時収録作品（GLコミックス版）

おりしも そのときチャイコフスキーが
大富豪の笛子と、彼女に一目惚れしたというジローマルを中心に、遺産相続を巡る騒動を描く。
雛菊物語
自殺願望を抱く少女・菊子と、彼女を止めようとする兄の心理実験を描く。
アポストロフィーS

同時収録作品（サンコミックス版）

快速帆船
記憶を失った少女が、自分が誰なのか、どこへ行くのかを模索する物語。
ノン・レガート
宝くじに当選した漫画家志望の女性が、マンションを購入後に次々と不運に見舞われる物語。
ダリアの帯

単行本

『四月怪談』 主婦の友社・GLコミックス、1981年
『四月怪談』 朝日ソノラマ、サンコミックス・ストロベリーシリーズ、1987年
『大島弓子選集 第8巻 四月怪談』朝日ソノラマ、1986年
大島弓子 白泉社文庫セレクション『四月怪談』白泉社、1999年

映画版

小中和哉監督による実写映画で、中嶋朋子と柳葉敏郎が主演を務めました。日本ビクターがVHD普及のために制作したオリジナル作品で、青春をテーマにしたファンタジー作品です。監督の小中和哉自身もカメオ出演しています。また、アニメーターの板野一郎が参加しています。

映画版ストーリー

高校生の初子は、下校中に廃工場で落下してきた鉄骨に当たりそうになったはずみで幽霊になります。先輩幽霊である弦之丞に生き返るように忠告されますが、初子は幽霊の能力を楽しみ、なかなか現世に戻ろうとしません。初恋に破れたショックから、生き返ることを拒否してしまいます。

スタッフ

監督：小中和哉
原作：大島弓子
脚本：小中和哉、関顕嗣
音楽：中谷靖
撮影：志賀葉一
照明：吉角荘介
美術：近藤成之
録音：杉崎喬
編集：富宅理一
助監督：山本英史
スチール：古沢びんぶん
アニメーター：板野一郎

キャスト

国下初子：中嶋朋子
弦之丞：柳葉敏郎
夏山登：角田英介
沢木留美子：原彩子
津田沼宏：新井昌和
深沢教諭：水口馨
葬儀社の男：小沢仁志
国下耕作：寺田農
国下とし子：山口果林


『四月怪談』は、少女[[漫画]]の枠を超え、生と死、そして青春の儚さを描いた名作です。漫画と映画の両方で、その独特の世界観を堪能できます。

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