四谷銀行

株式会社四谷銀行の歴史

株式会社四谷銀行は、1897年10月28日に東京市四谷区伝馬町（現在の東京都新宿区四谷）に設立されました。この銀行の設立にあたっては、四谷区議会議員の伊庭想太郎が相談役として関わり、専務取締役には今津源右衛門が就任しました。今津は、1919年12月に後に「大正バブル」と呼ばれる時期に、北辰炭砿の設立に尽力した経歴を持つ人物です。

銀行の繁栄と複雑な流れ

四谷銀行は、設立当初から順調に業務を展開していましたが、1922年に入ると日本の経済は厳しい状況に陥りました。この年の11月には、京都市の日本積善銀行で取り付け騒ぎが発生し、それが引き金となり、多くの銀行が連鎖的に休業するという事態を招きました。四谷銀行もその一つで、京和銀行や報徳銀行など、他の銀行と共に同じ運命を辿ることになります。

1922年12月15日、四谷銀行は支払いを突然停止し、翌日には休業に入りました。その後、1923年1月19日に臨時株主総会が開催され、休業の理由や資産状況が報告されましたが、取締役たちは責任を果たすために辞任することを申し出ました。とはいえ、その後も彼らは再任されることとなります。

大震災とその影響

1923年9月1日、関東大震災が発生し、四谷銀行の本店ビルは壊滅的な損傷を受けました。それにもかかわらず、銀行は依然として休業を続け、整理中の状態が続きました。文化的な活動を重んじていた四谷銀行の一環として、1914年頃まで劇作家として名を馳せる鈴木泉三郎が在職していたことも、さほど知られていない重要なエピソードと言えます。

銀行の消滅

四谷銀行は、大蔵省（現在の財務省）による『銀行総覧』には1926年の年末まで名前が掲載されていましたが、1927年にはその姿を消しました。後継の銀行も存在せず、四谷銀行の歴史はここで終わりを迎えます。このように、四谷銀行は「大正バブル」の崩壊という日本の経済的な激動に翻弄され、短い歴史を終えました。

四谷銀行の存在は、日本の金融史のひとつの教訓として留められています。

もう一度検索